国際エネルギー機関(IEA)が2020年5月に発刊したGlobal Energy Review2020では、新型コロナの影響により2020年のCO2排出量は前年比で約8%減少すると予測していました。以下は、筆者が同報告書の概要と考察をIEEIへ寄稿して、その中で2020年以降のCO2排出量を試算したものを示したものです。
(2020年のIEEI寄稿より) 前例として、リーマンショックの時のCO2排出量の変化を見てみると、2009年には前年比で1%減少するが、翌年には6%の増加に転じ、翌年は3%の増加、その後は0~2%の間の増加率で推移している。あくまで一つの仮定であるが、コロナ禍による2020年の減少の後、CO2排出量がリーマンショック後と同様の年変化を辿ると仮定して2030年までを試算すると、下図の破線のようになる。

IEA CO2 Emissions from Fuel Combustion 2019, World Energy Outlook 2019から作成
WEO2019の中心シナリオの2025年、2030年のCO2排出量は、この仮定による試算カーブに乗っている。(中略)しかし、経済回復のペースが同じであったとしても、エネルギー供給・需要の両面で低炭素化は進んでいることから、実際のCO2排出量はこの破線カーブを下回ると考えられる。
|
全文を読む
【第2回講座】世界の低炭素化はどこまで進んでいる?:データで学ぶエネルギーとカーボンニュートラル
「講座:データで学ぶエネルギーとカーボンニュートラル」リンク一覧(随時追加予定)
【第1回】世界の低炭素化はどこまで進んでいる?
【第2回】コロナ後のCO2排出量はどうなった?(当ページ)
【第3回】「2050年カーボンニュートラル」ってどんな世界?
【第4回】再エネだけがCO2フリー電力?
【第5回】エネルギーはどこで使われる?
【第6回】世界のエネルギー資源勢力図とその変化
【第7回】便利な電気、電化率からわかること
【第8回】カーボンニュートラルの世界(その2)