外交・安全保障グループ 公式ブログ

キヤノングローバル戦略研究所外交・安全保障グループの研究員が、リレー形式で世界の動きを紹介します。

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2021年10月19日(火)

外交・安保カレンダー (10月18-24日)

[ 2021年外交・安保カレンダー ]


衆議院議員選挙が公示された。日本の報道が選挙中心になることは仕方ないとしても、国際情勢は日本を待ってはくれない。岸田文雄内閣発足から2週間経ったが、日本の周辺では様々な報道や情報が飛び交った。例えばこんな具合だ。

10月1-5日、延べ約150機の中国軍機が台湾の防空識別圏に進入した。

6日、台湾国防部長が「中国は2025年までに完全な台湾侵攻能力を持つ」と証言。

8日付WSJは、「米軍の特殊作戦部隊と海兵隊の小部隊が極秘に台湾に派遣され、少なくとも一年前から台湾軍の訓練に当たっている」と報じた。

9日、習近平国家主席が辛亥革命百十周年で記念演説を行った。

10日、蔡英文総統が国慶節百十周年で記念演説を行った。

14-15日、米軍の駆逐艦とカナダ軍のフリゲート艦が共同で台湾海峡を通過した。

いずれも重要なニュースだが、筆者個人的に最も衝撃が大きかったのはコーリン・パウエル元国務長官の逝去だった。丁度本稿執筆中に第一報が入ってきた。筆者はこの偉大な米国軍人・外交官と直接話した記憶はないが、同長官の逝去は決して他人事ではない。同長官の子息マイク・パウエルを個人的に良く知っているからだ。

1987年にマイクは米陸軍でドイツ駐留中にアウトバーンでの訓練中の事故で大怪我を負い、回復してから国防総省の日本課(昔は上げ底で日本部などと呼んでいたが、当時は課長と課長補佐の二人しかいなかった)の課長補佐になっていたと記憶する。当時からマイクは超優秀。さすがはパウエル将軍の息子、と思ったものだ。

それはともかく、パウエル将軍が経験した三つの大戦争のうち、二つは筆者も(従軍ではないが)関与したことがある。一つ目は湾岸戦争で、サウジアラビアに50万の多国籍軍を終結させるなど、ベトナム戦争での教訓から学んだ「戦争の定石」を見事に実行した戦争だった。そこで日本は「物資協力」で米中央軍を間接支援した。

二つ目はイラク戦争だ。あれはチェイニー副大統領、ラムスフェルド国防長官が主導し大失敗した戦争だったが、そこでパウエル国務長官は恐らく生涯悔やんだに違いない猿芝居を演じさせられた。もしパウエル将軍が副大統領だったら、イラク戦争はなかったか、それともラムスフェルド国防長官と骨肉の争いになったかもしれない。

あのパウエル将軍が亡くなった。彼は古き良き共和党の良識を代表する政治家だったが、晩年はその共和党に支持すべき政治家がいなくなってしまった。大統領選で共和党のはずのパウエル元長官がオバマ候補を支援し、民主党の党大会でバイデン候補のために演説をするなんて。心からご冥福をお祈りしたい。

さて、話を中国・台湾に戻そう。今週の産経新聞と日経ビジネスのコラムでは、中台両首脳による演説の比較と、ワシントンでの対台湾「曖昧戦略」に関する議論について詳しく書いたので、ご一読願いたい。前者では筆者の愛読する某有力日刊紙の記事が如何に先入観と事実誤認に基づいて書かれているかについて書いた。

一方、後者では米議会内で伝統的「曖昧戦略」の変更を求める声が超党派で広がりつつあるが、果たしてそうした声がコンセンサスになることが米中関係にとって良いことなのかにつきやや批判的に分析している。この点は日本の安全保障にも直結する大問題だと思うのだが、日本のマスコミの反応は悲しくなるほど鈍い。

なお今週の外交安保TVは筑波大学の東野篤子准教授をお招きし、中東欧地域と中国の関係などについて存分に語ってもらった。自分で言うのも何だが、筆者にとっても、目から鱗の話が多く、大変勉強になった。お時間のある向きは、ちょっと覗いてみてほしい。

今週は時間の関係でこのくらいにしておこう。


1-20日 国連総会 第3委員会 第76回会合(ニューヨーク)

1-2022331日 ドバイ国際万博開幕

6-19日 国連総会 第6委員会 第76回会合(ニューヨーク)

6-25日 国連総会 第2委員会 第76回会合(ニューヨーク)

17-19日 靖国神社秋季例大祭

17-21日 インド・ジャイシャンカル外相がイスラエルを訪問

18 EU外相理事会(ルクセンブルク)

18日 中国第3四半期経済指標(GDP、固定資産投資、社会消費品小売総額等)発表

18日 ファルコン9(スペースX社スターリンク衛星 51機)打ち上げ(ヴァンデンバーグ空軍基地)

18-19日 ニカラグア・コリンドレス外相がベラルーシを訪問

18-21日 欧州議会本会議(ストラスブール)

18-22日 第44ASEAN航空輸送ワーキンググループ(ATWG)および関連する会議

19 EU一般問題理事会(ルクセンブルク)

20 EU9CPI発表

20日 ベージュブック(FRB

20日 マイナンバーカードを健康保険証として利用できるシステムの本格運用がスタート

20-30日 台湾経済視察団がチェコ・スロバキア・リトアニアを歴訪

21日 メキシコ8月小売・卸売販売指数発表

21-22日 欧州理事会(ブリュッセル)

22 WTOサービス貿易理事会

22 APEC財務相会合(バーチャル)

22日 ロシア中央銀行理事会

22-111 AGROEXPO2021(コロンビア・ボゴタ)

23日 アリアン5(静止通信衛星SES-17, Syracuse 4A)打ち上げ(仏領ギアナ基地)

24日 ウズベキスタン大統領選挙

24日 山口市長選

25-31日>

25日 カナダ・ヌナブト準州選挙

25日 メキシコ9月雇用統計発表

25日 韓国の「独島の日」

25 H-IIAロケット4A号機(準天頂衛星「みちびき」初号機後継機)打ち上げ(種子島宇宙センター)

25-28日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)

25-29日 アフリカ・ヘルス(オンライン)

25-1112 ICAO Council Phase 224回会合(モントリオール)

26 WTO紛争解決機関会合

26日 「核のごみ」最終処分地の文献調査が争点の北海道の寿都町長選

26-27日 ブラジル中央銀行、Copom

26-28日 第38回および第39ASEANおよび関連サミット

26-28日 アジアインフラ投資銀行(AIIB)年次総会(UAE

27日 国連総会・気候変動に関する高級レベル会議(ニューヨーク)

27日 メキシコ9月貿易統計発表

27日 ブラジル8月全国家計サンプル調査発表

27日 ロシア1-9月鉱工業生産指数発表

27日 ロシア1-8月貿易統計発表

27日 カナダ中央銀行政策金利・金融財政報告書発表

28日 欧州中央銀行(ECB)政策理事会(金融政策) (フランクフルト)

28日 米国第3四半期GDP発表(速報値)

28日 ソユーズ2.1aISS無人補給機プログレスMS-18(79P))打ち上げ(バイコヌール宇宙基地)

29日 米・9PCE(商務省)

29 EU3四半期GDP速報値(EU統計局)

29日 米・バイデン大統領がバチカンを訪問

29-30 G20財務省・保健相会合(ローマ、バーチャル併用)

30日 元徴用工めぐる韓国最高裁判決から3

30日 ファルコン9SpaceX社 クルードラゴン宇宙船運用3号機)打ち上げ(ケネディ宇宙センター)

30-31 G20首脳会合(ローマ)

31日 衆議院選挙

31日 宮城県知事選

31日 神戸市長選

31日 長野市長選

31日 中国10PMI(国家統計局)

31-1112日 国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)(グラスゴー)

10月中 IMF世界経済見通し発表

4 APEC財務高級実務者会合


宮家 邦彦  キヤノングローバル戦略研究所研究主幹