エネルギーの将来シナリオについては、国際エネルギー機関(IEA)の2050年カーボンニュートラルシナリオNZEを、本講座の第3回、第8回で紹介しています。そのNZEは、IEAのWorld Energy Outlook(WEO)のシナリオの一つで、比較的新しいものです。WEO2006からWEO2024までの WEOのシナリオの体系と変遷を描くと、図1のようになっています。
図1 WEOのシナリオの体系と変遷
WEOシナリオは、大きく3つに分類できます。過去のトレンドが将来も継続すると想定するBAUシナリオ(WEOのシナリオ名はリファレンス、CPS)、新たな政策が導入されると想定する中心シナリオ(同NPS、STEPS)、そして2℃目標と整合させた2℃シナリオ(同450、SDS)です。WEO2010からWEO2020まではこの3本立ての時代が続きましたが、CPSはWEO2020で打ち切りになり、2℃シナリオもその1年後に打ち切りとなり、いわば古参のシナリオ2つが消えました。そして、WEO2021からは2℃シナリオに代わって登場した1.5℃シナリオのNZEと、カーボンニュートラル宣言をした国は達成すると想定したAPSが、STEPSと共にレギュラーシナリオとなっています。シナリオのタイプ(本講座第3回参照)で分類すると、BAUシナリオと中心シナリオはフォアキャスト型、2℃シナリオと1.5℃シナリオはバックキャスト型、APSはそのハイブリッドです。
【第10回講座】エネルギーの将来シナリオの変化:データで学ぶエネルギーとカーボンニュートラル
「講座:データで学ぶエネルギーとカーボンニュートラル」リンク一覧(随時追加予定)
【第3回】「2050年カーボンニュートラル」ってどんな世界?
【第10回】エネルギーの将来シナリオの変化(当ページ)