農業だけでなく、その川上に、機械、肥料、農薬等を供給する産業、農業の川下に食品加工、流通、外食など、食料供給についてのフードシステムについて、学びます。
川上産業の問題としては、日本での農業の資材価格はアメリカの倍もするなど割高になっています。
食品加工業については、農業とのつながりの大きさから、地域での重要性、中小企業の多さ、食品を扱うことから、製造業の中の一割産業、収益の安定性という特徴があります。野菜、果物などの青果物の流通には、卸売市場を経由するもの、それ以外のものがあり、それぞれ特徴があります。スーパーの拡大により、後者の流通が増加するとともに、卸売市場の流通も変化しています。
国民のカロリー(熱量)については、農林水産省の供給熱量と厚生労働省の摂取熱量の2つのデータがあります。近年この差が拡大しています。今後の食料消費や購買行動の動向に、人口減少、少子高齢化、単独世帯の増加、女性の社会進出という要素が影響します。このため、内食でもなく外食でもない、中食が拡大しています。
農産物や食品の貿易についても、自動車と同じく産業内貿易が顕著にみられます。アメリカは世界最大の農産物輸出国であると同時に世界最大級の農産物輸入国です。生産要素の賦存性の違いから産業間貿易を説明したヘクシャー・オリーン理論では現実の貿易を説明できなくなっています。国によって嗜好が異なることも、貿易を発生させる大きな要因です。日本の農業界はグローバル化を嫌いますが、グローバル化を利用した成功例があります。また、人口減少時代にはグローバル化への対応は不可避です。
最後に、GAPや地理的表示という近年のフードシステムに関する政策的トピックについて説明します。
【山下 in 東大】第5回「食料安全保障と農業政策」講義資料_2024
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【山下in東大】第1回「食料安全保障と農業政策」講義資料_2024
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