その他  グローバルエコノミー  2024.04.26

【山下 in 東大】第2回「食料安全保障と農業政策」講義資料_2024

農業・ゲノム

2回目では、食料・農業について、生産、消費、貿易の基礎的事実と特徴を学びます。

農業も工業も経済的な活動という点では同じですが、自然や生物を相手にするという点や生産に季節性があって平準化が難しいという点では違います。農業には、代替可能な生産要素とそうでない生産要素があります。農業の中には、米、小麦、砂糖など土地利用型の農業と野菜や果物など労働集約的な農業、畜産など生産の季節性が大きくないものなど、様々な業種があります。全てを同じように扱うことは適当ではありません。

世界の畑作(特にかんがい農業)は、水資源の枯渇、土壌流出、塩害などの問題を生じています。米作はこれらの問題や毎年同じ作物を植えると収量が減少するという連作障害もない、持続可能な農業です。米の生産力は小麦よりも高く、世界の6割の人口を養っています。

需要面では、食べる量(胃袋)が一定なので、価格が低下しても需要はあまり増えないという非弾力的という特徴があります。このため、供給量が増えると価格が大幅に低下するという豊作貧乏という問題が生じます。供給を減少させることで価格を大きく引き上げる、米の減反はこの特徴を逆手に取った政策です。

貿易について、一般に信じられている常識を検討します。食料の中で最も基本的なものは、米、麦などの穀物です。では、先進国が穀物の輸出国となり、途上国が輸入国となるのはなぜでしょうか?これを価格と数量の二次元のグラフの中で、価格以外の要因によって需要曲線と供給曲線をシフトさせることで説明します。また、これが先進国では農業保護、途上国では農業搾取を生じさせたことを説明します。

食料自給率について検討します。同じく第二次世界大戦後飢餓を克服しようとしたEUと日本ですが、EUで自給率が上がり日本で低下したのはなぜでしょうか?日本の自給率低下は農業界が主張するように食生活の洋風化のせいでしょうか?自給率が低い日本の農業生産額が、輸出国である、フランス、カナダ、オーストラリアを大きく上回るのはなぜでしょうか?


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【山下 in 東大】第2回「食糧安全保障と農業政策」講義資料_2024


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【山下in東大】第1回「食料安全保障と農業政策」講義資料_2024

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