第13回は日本農業の可能性と農業新技術について説明します。
・南北に長く、標高差があるという日本の国土的な特徴、植生が豊かで多様な農産物の生産が可能という気候・風土的な特徴を生かした、複数の地域間を連携した農業、標高差を利用した新しい中山間農業、大規模複合経営の展開という日本農業の可能性について説明します。
・ICT・AI、ロボットなどの新技術の農業への応用可能性がテレビドラマで取り上げられるなど、注目を集めています。しかし、80年代のバイオテクノロジー・ブームのときに話題とされた技術で今生き残っているのはわずか。その後に現れた遺伝子組み換え技術が発展。
・生物や自然を相手にする農業は工業よりも複雑な要素と判断が必要。価格等の市場情報や気象、土壌、病害虫の発生などの生産情報をもとに、当該農家の収益を極大化できるような適切な農産物・品種の選択とその生産方法の決定をこれら相互の関連を考慮しながら同時に決定できるようになるか?このような複雑な意思決定にこそAIやICTは有効ではないか?それには質量ともに多くの情報、つまりビッグ・データが必要。
・ビッグ・データについてのアメリカの取り組みを紹介。日本政府が推進している農業ビッグ・データが成功しない理由と望ましいビッグ・データの仕組みを提案する。
・食品のトレーサビリティにブロックチェーンが活用できるという主張が欧米で行われている。しかし、部分的な実験にとどまり、大きな展開を示していない。その理由と克服すべき課題について説明します。
・AIやIT、ロボット、センサーなどのスマート農業は、農業生産コストに関する分子の面積当たりのコストを低減するincrementalなもの。これに対し、ゲノム編集技術は分母の面積当たり収量の増加を可能とするexponentialなもの。収量が2倍になるとコストは半減。しかも、規模において中立的な技術⇒面積の小さい日本により適合する可能性。
・今一度『いま蘇る柳田國男の農政改革』新潮選書, 2018年を読んでください。(オンライン授業でコミュニケーションが十分ではありませんでしたが、)最後までありがとうございました。
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