第三回目では、食料・農業政策を分析するために必要となる基本的な経済学のお さらい、農業生産の技術とコスト、農業保護の構造について、学びます。
経済分析では、価格と数量をプロットした需要・供給曲線を使いますが、価格以 外の要素が変化したときは、これらの曲線はシフトします。例えば、米の需要曲 線は長年左方へシフトしてきました。
農業生産技術については、規模に関連するM過程と関連しないBC過程があります。 よく日本の農業生産の平均費用は外国より高いので競争できないという主張があ りますが、これは誤りで、重要なのは限界費用です。最後に、農業に関しては土 地が重要な生産要素ですが、土地に対する需要は製品である農産物の派生需要で す(銀座のコーヒーが高いのは銀座の土地が高いからではありません)。
アメリカとEUが価格支持政策から直接支払いへ移行してきたこと、日本は消費者 に負担を求める価格支持の割合が高いこと(逆進的農政)、経済学的に価格支持 よりも直接支払いが望ましいことを説明します。農家所得に対する補助金(直接 支払い)の比率が高いことから、ヨーロッパの農業保護の方が日本より高いとい う主張がありますが、これはある意図によって行われたものであり、もちろん誤 りです。