第10回は日本の農業政策の概要について説明します。
シンプルな欧米の政策に比べ、日本の農業政策は、複雑で多岐にわたります。行政課題を細かく設定し、それに応じて事業を作るためです。
これらを簡単に要約することは困難ですが、一応の整理・分類をします。
農業政策の中心となってきたのは、価格支持による農家所得の維持です。かつて政府が米を農家から買い入れていたとき、農家からの政府買い入れ価格(生産者米価)は大変な政治運動を経て毎年7月ころ決定されました。民主党政権は、2010年度米の戸別所得補償制度を導入しましたが、自民党政権はこれを廃止して2019年から収入保険制度を導入しました。にもかかわらず、価格維持は依然として農政上重要となっています。減反政策は米価支持の政策です。
手法については、低利・長期の融資と国などが機械購入の半額を補助するなどの補助事業があります。ここでは、農協の農業融資が振るわなくなった理由を説明します。
農業の構造を改善するために、担い手への補助や融資の重点化、賃貸借による規模拡大の推進、農家負担15%程度の公共事業による農地の整形、大区画化などを行っています。しかし、高米価で零細農家を滞留させているので、規模拡大はなかなか進みません。
生産や技術についても、技術開蓮の推進、高度な機械導入への融資・補助を行ってます。
農村地域対策として、農産物加工場や直売場などへの補助、公共事業で簡易な下水道整備を行っています。中山間地域農業の条件不利を補正するため、2000年度から直接支払い制度が導入されています。
行政組織としては、国、都道府県、市町村、団体もこれに倣って、全国、都道府県、市町村、という段階で活動しています。
【山下in東大】第一回「食料安全保障と農業政策」講義資料はこちらから
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