1.問題意識
キヤノングローバル戦略研究所は2020年初頭より「脱炭素と中東・エネルギー地政学」研究会(以下研究会)を実施してきた。この報告書は過去5年に亘る研究活動をまとめ、研究会の着眼点や実際のテーマについて改めて整理して提示することを目的としている。研究会の主旨はエネルギーシステムと地政学は密接に関係するという先達の知見の上に立って、化石燃料を基盤としたエネルギーシステムが脱炭素の方向へ変化する時、エネルギー地政学はどのような変化を見せるのかについて考察するものである 。2019年に出版された国際再生可能エネルギー機関(IRENA) の"A New World: The Geopolitics of the Energy Transformation”(「新たな世界:エネルギー変容の地政学」)は、脱炭素とエネルギー地政学の関係について同機関が初めて考察した報告書である。本書は石油・天然ガスなどの化石燃料がこれまでの地政学的な勢力図を構築してきたように、脱炭素への移行も今世紀の地政学を再構築する重要な要素の一つとなることを指摘している 。「新たな世界」はさらにOPEC(石油輸出国機構)を構成する国々 が脱炭素の影響を最も受けることになると示唆し、再生可能エネルギーの普及によってその経済的・政治的な影響力が変化する可能性があると指摘している。
報告書 執筆:辰已 雅世子 研究員
「脱炭素と中東エネルギー地政学研究会」 中間報告(2023年)
CIGS公開セミナー『中東における脱炭素とエネルギー地政学の変化』(2025年)
公開セミナー『中東産油国の脱炭素と地政学の変化』を終えて(2024年)