チェコ警察は2026年1月17日、「外国勢力のために無許可の活動を行った」疑いで、中国国営メディア『光明日報』の記者・楊芸明を逮捕した。現地報道によれば、楊は実際には中国国家安全部の指示を受け、記者の身分を利用して長期間にわたり情報収集活動を行っていたとされる。チェコ情報機関「安全情報局(BIS)」は、すでに一定期間にわたり楊を監視していたという。
調査によれば、楊が接触・監視していた対象には、台湾問題に積極的な立場を示してきたチェコの政治家や研究者が含まれていた。具体的には、ミロシュ・ヴィストルチル参議院議長、マルケータ・ペカロヴァ・アダモヴァ元下院議長、著名な中国研究者であるオルガ・ロモヴァ氏らの名前が挙がっている。
楊は月に二度ほど中国大使館を訪れ、中国側関係者に情報を提供していたとみられる。その目的は、親台湾派の政治家や研究者に対し、圧力や威嚇に利用できる情報を収集することだったとされている。
今回の事件を受け、チェコ政府は安全対策を強化。一部の在中国チェコ人に対しては、「人質外交」の対象となるリスクを避けるため、一時帰国や撤退を促したと報じられている。
また、この事件はチェコにおいて、「外国勢力のための無許可活動」という容疑で正式に起訴された初のケースとなる可能性があり、中国による欧州域内での情報活動に対する警戒感は一段と高まっている。
他方、この事件は現在中国で服役中のチェコ人学生の処遇にも影響を及ぼす可能性があるとみられている。この学生は2019年、中国当局により覚醒剤販売の罪で逮捕され、懲役12年の判決を受けた。チェコ側では、中国がこの学生を事実上の「交渉カード」として利用し、楊との交換(相互の身柄引き渡しなど)を模索する可能性があるとの見方も浮上している。