過去20年で中国の国内総生産(GDP)は約8倍に拡大し、世界経済に占める割合は約18%に達しました。これに伴い、軍事費も約4倍に増加し、中国は米国に次ぐ世界第2の大国として国際的な影響力を一段と強めています。しかし、その一方で、中国の内情は外部からますます見えにくくなっています。
習近平政権は「国家の安全」を最重視して情報統制を強化しており、その下では政策や人事の動向さえ外部から把握しにくい状況にあります。このように厚いベールに包まれた大国の実像に迫るには、「オープンソース・インテリジェンス(OSINT)」の手法が有効です。政府機関、学術界、報道機関などで長年中国研究に従事してきた専門家たちが、日々、中国政府の公式発表やメディア、SNSなどを丹念に読み解いています。こうした取り組みを通じて中国の実態に迫ることが、キヤノングローバル戦略研究所(CIGS)中国研究センターの使命です。
上席研究員 峯村健司