兼原研究主幹は、以下の要領で講演を行いました。
演題:「海上保安庁および海上自衛隊の武器使用に係る比例性原則 国際法と国内法の相違が生み出す危険」
場所:海上保安庁
日時:2026年7月15日15時~17時
I.はじめに
(1)「法執行機関」としての海上保安庁
(2)海上自衛隊の「海上警備行動」
II.比例性原則
III.比例性原則に照らした海上保安庁及び海上自衛隊の安全確保の困難さ
異なる比例性原則の具体的適用場面
IV.「海戦」の特殊性
V.おわりに
主たる内容としては、まず、国際法の三つの比例性原則と、国内法の警職法7条(および海上保安庁法による類推適用)の比例性原則を説明しました。つづいて、自衛権行使、武力紛争、法執行、グレーゾーンといった各事実状況において、国際法の比例性原則と、警職法7条の規則の対比を、具体的に確認しました。
海上保安庁法25条により、常に法施行機関である海上保安庁、海上警備行動を実施する際には法執行機関である海上自衛隊が、いずれも警職法7条の制限を受けることにより、国際法上の自衛権行使および武力紛争における比例性原則の制限を受ける相手国との関係で、海上保安庁にも海上自衛隊にも、重大な危険が及ぶことを強調し、安全確保を主張しました。
すなわち、国際法上の自衛権や武力紛争における武力の行使は、「国対国」における比例性原則による制限を受けるが、警職法7条の規則は、「人対人」における比例性原則による規律であるため、許容される実力の使用において、規模・烈度・程度が、著しく異なることによる危険を強調しました。
さらに、「海戦」においては、「船舶対船舶」の間で敵対行為が行われるのであり、比例性原則の適用の在り方が、陸戦とは異なることも説明しました。
【比例性】
☆兼原敦子「海上保安庁の安全確保に不可欠な比例性原則の理解」
URL:https://cigs.canon/article/20250922_9248.html
☆Atsuko Kanehara,
“ Urgently Advocating a Precise Understanding of the Principle of Proportionality: From the Perspective of the Inherent Situation of the Japan Coast Guard and the Japan Maritime Self-Defence Force”
URL:https://cigs.canon/en/article/20251029_9345.html
【統制要領】
☆兼原敦子「自衛隊法80条と統制要領下での海上保安庁の任務遂行における安全確保」ジュリスト(2024年2月号(No.1593))に掲載
再掲 https://cigs.canon/article/20250127_8602.html
☆Atsuko Kanehara,
“How To Ensure The Safety Of The Japan Coast Guard While Maintaining Its Nature As A Police Organ When It Conducts Missions In Collaboration With The Japan Maritime Self-Defense Force Under The Control Guidelines,” Japan Review, Vol. 6, No. 2 (2024), pp. 47-79
https://www.jiia.or.jp/eng/upload/eng/05JapanReview_Vol6_No2_Atsuko%20Kanehara.pdf
【武力の行使と武器の使用】
☆Atsuko Kanehara, “Reconsideration of the Distinction between the Use of Arms in Law Enforcement and the Use of Force Prohibited by International Law―With an Analysis of the Inherent Significance of This Issue to Japan,” Japan Review, Vol. 5, No. 2,
https://www.jiia-jic.jp/en/japanreview/pdf/JapanReview_Vol5_02_%20Kanehara.pdf