ワーキングペーパー  エネルギー・環境  2021.12.14

【研究ノート】江戸東京野菜の考察(2)気候への適応の形

エネルギー・環境

要旨

農業は、自然的要因(天候不順や水災害など)の影響を受けやすく、地球温暖化による悪影響が特に心配される分野である。この影響に対応するための「適応策」とは、既存の農業経営活動の延長上にあるという考えの下、過去数百年の間に見られた温暖な時期における気候・農業・社会の関係を考察した。第1に、江戸時代の温暖な気候は、豊作をもたらすとともに米の余剰と価格低迷を引き起こし、その後の寒冷期に対する社会の耐性や対応力を著しく弱化させることがあった。第2に、大都市江戸の近郊では気候や土地の特色に適した野菜が栽培される「受動的適応」だけでなく、高く売れる野菜を作ることを原動力としたイノベーション(堅田、2021a)によって栽培に不利な気候を克服する「能動的適応」が見られた。厳しい気候を乗り越えてきた「江戸東京野菜」は、地球温暖化に対する農業の能動的な適応のあり方を見出す上で有用な研究材料である。

目次

1 江戸の気候と温暖期... 2

2 江戸時代の気候変動に対する野菜の役割... 3

3 江戸の野菜栽培に見る適応の形... 5

3.1 気候や土壌への受動的な適応... 6

3.2 幸運の偶然から始まった能動的な適応... 7

3.3 技術開発による能動的な適応... 8

4 江戸東京野菜に学ぶ適応研究の方向性... 9

文献... 12

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