イベント開催報告 エネルギー・環境
日本が抱える社会課題との関係性から気候変動問題を捉えなおす「気候変動の問題性再考研究会」の第一回は、気候変動問題をめぐる意思決定のあり方、またそこで専門家が果たす役割に関わる社会課題として、「不確実性への向き合い方」をテーマとした。「不確実性」は、社会課題と認識されるほど国内では一般的な問題ではないかもしれないが、たとえば「想定外にどう対処するか」「ごく稀に起こる大規模な被害にどう対策するか」という形で、防災や原子力事故などの文脈で度々議論されてきた問題である。起こるか分からない、あるいは被害規模の想定できない問題のマネジメントを論じるとき、我々は何を天秤にかけ、何を諦めているのか。あるいは、そうした問題に対して、専門家の知見や、発達しつつある計算資源をどのように活かしうるのか。「分からなさ」という問題に対して、どのような考え方の工夫がありうるのか。第一回のテーマでは、こうした問いに取り組んだ。
そもそも気候変動・エネルギー政策をとりまく不確実性は⼤きく、政策決定がもたらす社会的影響も甚⼤である。このため、技術開発や国際情勢の⾒通しについて、悲観的見方や楽観的見方など、⽴場ごとに未来を予測し、予測に基づく対策を主張するだけでは、議論が平行線に陥ってしまう。そこで、様々な⾒地から、不確かな要素を洗い出し、今後の展開を(確率ではなく)「可能性」として吟味する、思考実験的なアプローチが重要だと考えられる。こうした問題意識とそれに対応する⽅法論は、諸外国とりわけ⽶国の気候変動政策研究において発達してきた(Decision-Making Under Deep Uncertainty論)。
一方、国内では、不確実性そのものを正⾯から取り上げた議論はまだ少ない。そこで本ワークショップでは、海外の研究の蓄積を踏まえ、「⽇本の原⼦⼒・核燃料サイクル政策」というテーマを題材に、「前途に広がる不確実性の諸要因の全体像(uncertainty landscape)」を挙げ、それらの不確実性について、ディスカッションを通じて簡易的に管理や対応の戦略を検討した。こうした思考実験を通じて、不確実性への様々な向き合い⽅について参加者に知ってもらうと同時に、今後の⽇本の不確実性研究に対する⽰唆を導くことを⽬指した。