ベルギー当局は24日、中国系カナダ人の女性を逮捕した。検察当局は翌25日、女性が北大西洋条約機構(NATO)の軍事司令部でインターンとして勤務していた期間中、第三国のためにスパイ活動を行った疑いがあると発表した。
発表時点では、女性がどの国や組織のために諜報活動を行っていたのかは明らかにしていなかった。しかし29日のロイター通信は、事情を知る関係者2人が、その「第三国」は中国であると証言した、と報道した。中国外交部および在ベルギー中国大使館は、問い合わせに対し、回答していない。
関係者によると、女性は「Claire Zhang」と名乗る30代の中国系カナダ人の張姓の女性で、学生ではなく、約1年前にベルギーのモンスへ移住。NATO軍事司令部「欧州連合軍最高司令部(SHAPE)」でインターンを開始し、情報技術部門に所属していた。ベルギーでは独身・子どもなしとして登録されていたという。
一方、新唐人テレビ(*注)の報道では、女性の本名は張碧薇(Biwei Zhang)で、職場では英語名の「Claire Zhang」を使用し、SNSでは「Catina Zhang」の名前で活動していたと伝えられている。
ロイター通信によると、張はSNSアカウントに送られた取材要請に応じておらず、一連の容疑について公にコメントも出していない。また、代理人弁護士からの説明も行われていない。ただ、関係者が確認した「LinkedIn」のプロフィールによれば、張はこれまでに欧州宇宙機関(ESA)や世界貿易機関(WTO)で勤務した経歴を有している。
NATOの規定では、インターンに対するセキュリティ・クリアランス(身辺調査)は本人の所属国が担当することになっており、張についてはカナダ当局が審査していた。カナダのゲーリー・アナンダサンガリー公共安全相は、この事件を受けてカナダの安全審査制度を見直す考えを示し、「事実関係を徹底的に解明することが極めて重要だ」と強調した。
ベルギー検察によると、SHAPEは張の行動に不審な点を確認した後、直ちにベルギー情報機関へ通報したという。SHAPEの報道官は、「現時点で、この事案がNATOの作戦準備態勢、指揮統制能力、あるいは現在遂行中の任務に影響を及ぼしたことを示す証拠は確認されていない」と説明している。
*注:新唐人テレビ(NTD)は、法輪功学習者らが設立に関与した中国語系海外メディアで、米国を拠点とし、中国共産党に批判的な報道姿勢で知られる。