CIGS中国研究センター

現地報道からの情報
台湾人、訪中後の失踪・拘束313人 2月だけでも17人(2026年3月)

台湾の大陸委員会(陸委会)が公表した最新統計によれば、2025年1月から2026年2月28日までの間に、中国を訪れた後、「音信不通」「留置・取り調べ」「人身の自由を制限された」と報告された台湾人は計313人に上った。

台湾政府関係者によれば、中国で連絡が取れなくなった、あるいは拘束された台湾人の数は月ごとに増加傾向にあり、2026年2月だけでも新たに17人が確認されたという。そのうち約半数は、現在も所在不明の状態にあるとされる。

背景には、中国が近年進めてきた国家安全関連法の整備と強化がある。特に2024年6月、中国当局は「懲独22条意見(台湾独立派処罰に関する22条意見)」を公表し、「台湾独立」活動への取り締まりを制度化した。さらに、中国の司法制度は透明性に欠けるうえ、国家安全の定義や司法管轄の範囲も拡大されていることから、台湾人が中国本土や香港、マカオを訪問する際の人身安全リスクが大きく高まっているとみられている。

陸委会への通報内容によれば、313人の内訳は、音信不通が114人、留置・取り調べが25人、人身の自由を制限されたケースが174人となっている。台湾政府は、実際には表面化していない事例も存在する可能性があるとしており、台湾人の中国渡航リスクはさらに深刻化しているとの認識を示している。

政府関係者はまた、中国の「両高」(最高人民法院と最高人民検察院)が2026年の活動報告の中で、台湾の出版社「八旗文化」の編集長である富察氏の事件を、「台湾独立派取り締まりの成果」として取り上げたことにも言及した。

富察氏のケースでは、中国当局が「国家分裂」や「国家統一破壊」といった罪名を適用し、逮捕後に長期間の拘束と非公開裁判を行ったとされる。台湾側はこれを、中国による恣意的な司法運用の象徴的事例として警戒している。

さらに台湾政府関係者は、中国が現在、「宗教の中国化」政策を強力に推進している点にも警鐘を鳴らした。中国では宗教活動そのものが政治的統制の対象となっており、台湾人が中国で宗教交流や布教活動を行う場合、高いリスクを伴うという。

具体例として、台湾の宗教団体「一貫道」の関係者が中国訪問中に拘束され、現在も解放されていないケースが挙げられている。

同関係者は、「中国には宗教信仰が存在する一方、中国共産党そのものは無神論を掲げている。そのため党は宗教組織の社会的影響力を常に警戒している」と指摘した。中国当局に許容される宗教とは、「共産党統治に脅威を与えない範囲」に限定されており、同時に宗教交流を対台湾統一戦線工作の一環として利用していると批判している。

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