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米台が連携し「疑米論」に対抗 米国務次官、中国統一戦線資金の解明に言及(2026年3月)

中国が代理人ネットワークを通じてインド太平洋地域で「疑美論(アメリカに対する不信を煽る論調)」を頻繁に拡散しているとされる問題について、米国務省は3月5日、下院の公聴会において、台湾を含む同盟国との連携を一層深化させ、中国による悪意ある影響力工作に対抗していく姿勢を改めて示した。

サラ・ロジャース(Sarah Roger)米国務次官は、証言の中で信頼構築の基盤として学術交流や人的往来の重要性を強調する一方、中国の「統一戦線工作」に関わる資金源については徹底的な調査が必要であると指摘した。最新の米教育省の統計によれば、2025年に米国の大学が受け取った外国資金の総額は約52億ドルに上り、このうち中国からの資金は約5億2,800万ドルを占める。米政府は、こうした外国資金について透明性を確保し、学術分野への不当な影響力行使を排除することを課題として位置づけている。

共和党所属のアンディー・バー(Andy Barr)下院議員も公聴会で発言し、中国が代理勢力を通じてインド太平洋地域で「疑米論」を広め、アメリカと台湾を含む同盟国との関係分断を図っていることに懸念を示した。これに対しロジャース次官は、この問題はすでにアメリカの国家安全保障における核心的課題の一つであるとし、奨学金制度や人的交流の拡充を通じて、対抗的な信頼ネットワークを構築していると述べた。

また米政府は、中国による統一戦線工作の背後にある資金構造の解明を進めており、法律に基づき大学など教育機関に対して外国資金の透明性向上を義務づけることで、学術分野への影響力浸透を抑制する方針を示している。

ロジャース次官はさらに、経済的圧力も中国の影響力拡大戦略の主要な手段であると指摘し、これに対抗するため米国は「商業外交」を通じた代替的な経済枠組みの提供を進めていると説明した。中国が提供する港湾やインフラ投資については「無償ではなく、その質と政治的代償はしばしば予想を超える」と警鐘を鳴らし、各国に慎重な判断を促した。

加えて、米国は重要鉱物に関する協定やサプライチェーンの安定化を通じて、中国依存以外の経済選択肢を各国に提示し、結果として中国の影響力工作の吸引力を低下させる戦略を取っているとした。

太平洋島嶼地域における偽情報操作についても、ロジャース次官は、中国がソーシャルメディア上のチャットグループへの浸透や現地メディアの買収などを通じて世論形成に関与している可能性を指摘した。そのため国務省は現在、テクノロジー企業やSNSプラットフォームと連携し、「ボットアカウント群(自動化された多数の偽アカウント)」による影響工作の検知と分析を進めているという。

最後にロジャース次官は、インド太平洋地域の戦略的重要性は極めて高く、米国は包括的な対抗措置を通じて、中国が技術・資本・情報手段を用いて同盟国の意思決定空間へ影響を及ぼすことを防ぐ必要があると強調した。

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