英紙『ガーディアン』は2026年1月13日、欧州の外交官および政府関係者の話として、中国政府関係者が在中国欧州各国大使館、あるいは各国に駐在する中国大使館を通じ、欧州各国政府に対して交渉要求を提示し、「中国のレッドラインを踏み越えないように」と警告していたと報じた。
報道によれば、中国側の働きかけは多層的かつ多様であり、個別の国家に対するものもあれば、複数国を対象とした集団的な形態も確認されている。手段も文書によるものと対面によるものが併用され、接触は2025年11月から12月にかけて行われた。少なくとも一部は、台湾の蔡英文・元総統、蕭美琴副総統、そして林佳龍外交部長の最近の欧州訪問への対応であったとみられる。
『ガーディアン』が入手した文書によれば、中国側は「欧州のビザ政策の策定およびその主権は尊重する」としつつも、「制度上の欠陥」が存在するため、台湾の政治家が頻繁に欧州を訪問できていると主張した。
さらに中国は、「シェンゲン国境規則(Schengen Borders Code)」を含む複数のEU法を引用。同規則では、非EU国民の入域条件の一つとして「加盟国の国際関係に対する脅威と見なされないこと」が挙げられているが、中国側はこれを根拠に、台湾の政府関係者の入国は当該国と中国との関係に対する脅威になり得ると指摘した。
また特定の状況においては、「ウィーン条約(Vienna Convention)」にも言及し、欧州各国に対し、国連の例にならって台湾関係者の政府施設への立ち入りを禁止すべきだとの「助言」まで行っていたとされる。
中国外交部は『ガーディアン』の問い合わせに回答していないが、関連文書では、欧州各国は台湾が発行する「いわゆる外交旅券」を拒否すべきであり、「台湾の政府関係者が欧州に入域し、公的な接触や交流を行い、中国のレッドラインを踏み越えることを防ぐべきだ」との立場が示されている。
さらに文書は、EUおよび欧州各国に対し、中欧関係および二国間関係を踏まえた政治的判断として、台湾の正副総統の入国を拒否するよう求めるとともに、他の政府関係者のリストも提示している。
加えて、中国側は、台湾政府関係者によるベルギー、チェコ、ポーランド、オーストリア、ドイツ、リトアニア、デンマーク、エストニア、アイルランドへの訪問を例示し、これらが「中欧関係を著しく損なう」と批判した。
また、蕭美琴副総統が2025年11月に欧州議会で開催されたIPAC年次総会で講演した件にも言及し、「欧州は蕭氏に欧州議会内での演説を許し、台湾独立を主張する言説の発信を事実上容認した」と非難している。
一方で、ノルウェーおよびフィンランドの外務当局は、中国からの「助言」を受け取った事実を認めたが、台湾に対するビザ規定はシェンゲン体制の枠組みで決定されるとの立場を示した。英国外務省の報道官も、英国への入国許可はすべて国内法および移民規則に基づいて判断され、これらは台湾人にも同様に適用されると説明している。
『ガーディアン』はさらに、台湾外交部の見解として、政府関係者の欧州訪問は「中国とは無関係であり、中国に干渉する権限はない」との立場を伝えた。加えて同部報道官は、「むしろ中国こそが各国に対する威圧的措置や台湾への軍事的威嚇を通じて、国際社会およびインド太平洋地域の平和と安定を損ない、EUの直接的利益にも負の影響を与えている。欧州の国際関係を真に損なっているのは中国の行為であり、非難されるべきだ」と強く批判している。
報道は最後に、中国が2011年以降施行されている欧州の国境関連法に対し「高度かつ具体的な助言」を行っている点について、欧州各国がそれを十分な法的根拠を持つものとは見なしていないと指摘する一方で、その警告的な言辞については、一部の小国にとっては看過できない圧力として受け止められていると結んでいる。