台湾国家安全局(国安局)は2026年1月6日、2025年12月29日から2026年1月2日にかけて、中国発の偽情報が少なくとも約1万9,000件確認され、行動が不自然なアカウント799件が、「疑美・疑軍・疑頼(米国、台湾軍、頼清徳政権への不信)」といったナラティブを集中的に拡散していたことを明らかにした。
また、同局は、軍事演習初日に中国のサイバー部隊が台湾のインターネット環境に対し計208万回のハッキング攻撃を行い、2日目にはその回数が約209万回に達したことも公表している。
国安局は、中国の軍事演習期間中に確認された脅威の特徴として、「軍事情報操作とグレーゾーン作戦による威嚇」、「多元的手法を用いた認知戦」、「政府機構のネットワークへのサイバー攻撃」という、複合的な脅威パターンを挙げて説明した。
このうち、「多元的手法による認知戦」について国安局が分析したところ、中国は演習期間中、官製メディアによる宣伝報道、動画の加工・再編集、AI生成による偽情報、アカウントの乗っ取り、特定学者の同調的発言、ネット工作員による情報操作などを組み合わせ、偽情報の影響力を拡大させていたという。
国安局が収集・整理した情報によれば、2025年12月29日から2026年1月2日までの間、中国はソーシャルメディア上で1万9,000件以上の偽情報を流布させ、行動異常と判定された799のアカウントが、「TikTok」、「Facebook」、「Threads」、「X(旧Twitter)」などの主要プラットフォームを通じて、「疑美・疑軍・疑頼」のナラティブを拡散していた。
過去の軍事演習と比較すると、今回は特に「AI生成動画」と「国際社会向けの対外宣伝」を多用し、台湾社会における防衛への信頼感を低下させると同時に、国際的な友好国による台湾支持の姿勢を弱体化させることを狙っていた点が特徴だとされる。
「政府機構のネットワークを狙ったサイバー攻撃」に関しては、2025年以降、インド太平洋地域の各国、NATO、EUのサイバーセキュリティ機関および情報部門が、中国を世界的なサイバー脅威の主要な存在として繰り返し指摘している。中国のサイバー部隊による台湾への情報セキュリティ攻撃は年々増加しており、とりわけ中国が台湾周辺の海空域で威圧行動を行う場合や、大規模な軍事演習を実施する際には、同時に大規模なサイバー攻撃を仕掛け、台湾の情報安全環境および社会の安定に影響を与えているという。
国安局の情報チームによる統計では、中国のサイバー部隊は主に台湾の政府機関が提供するネットワークサービスを標的として攻撃を行っており、その中でも特に活動が活発だったのは、人民解放軍系とされるハッカー集団「APT24」および「BlackTech」であったとされている。