CIGS中国研究センター

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米国の右派系メディアWar Roomが蕭美琴副総統を取材
非伝統的戦争について言及(2025年12月)

台湾の蕭美琴副総統は、米国メディア「War Room」(*注)のインタビューに応じ、ハイブリッド戦、サイバー戦、情報戦、心理戦が台湾社会に与える影響と、現在の国際情勢について見解を述べた。

蕭副総統は、台湾が極めて複雑な地政学的環境に置かれていると指摘した。1995年から1996年にかけて行われた初の民選総統選挙以降、中国による軍事的脅威は一貫して存在しており、現在もその状況は変わっていないという。実際、中国は軍事力の拡張を続け、自らの立場を強硬に主張している。台湾周辺にとどまらず、日本、フィリピン、南シナ海、さらにはアフリカのジブチを含む世界各地に軍事的プレゼンスを展開している点を挙げ、中国の行動が地域的枠組みを超えていることを強調した。

一方で蕭副総統は、軍事力だけでなく、ハイブリッド戦の領域が極めて重要になっていると述べた。中国は『孫子兵法』にある「戦わずして人の兵を屈せしむ(戦わずに相手を屈服させるのが最上の戦略である)」という概念を援用し、心理戦、認知戦、偽情報の拡散といったハイブリッド戦の戦術を体系化してきたという。中国はサイバー攻撃を通じて台湾の政治体制への浸透を試みるだけでなく、社会全体に恐怖と不安を広げていると指摘した。

蕭副総統は、台湾社会は世界でも最も頻繁にサイバー攻撃を受けている被害者の一つだと述べた。世界各地で見られるハイブリッド戦の影響は、人々の日常生活や安全に直接的な影響を及ぼしており、その現象は台湾においても顕著に表れている。医療システム、病院、重要インフラ、政府機関が繰り返し攻撃の標的となっており、こうした状況は断続的ではなく、継続的に発生していると明らかにした。

さらに蕭副総統は、心理戦による脅威についても詳しく言及した。中国の目的は明確であり、心理戦の側面には三つの重要な領域があると指摘した。第一に、民主制度や民選政府を中傷し、共産主義体制が自由で民主的な制度よりも優れていると主張することで、台湾社会に政治体制への不信感を広めようとしている点である。

第二に、中国は自らの世界秩序観にとって脅威とみなす個人を標的にし、頼清徳総統をはじめとする人物に対して継続的な人格攻撃を行っているという。場合によっては、特定の人物を名指しで指名手配の対象とすることもあり、その中には全民国防や自衛の重要性を訴える立法委員も含まれている。こうした心理戦は、社会の発言空間を萎縮させ、政治的立場に対する異論を抑え込むためにも用いられていると述べた。

第三に、中国は台湾と米国、さらには台湾と他の民主国家との関係を分断しようとしている。「米国は信頼できない」「台湾には友人がいない」「台湾は国際社会で孤立している」といったナラティブを意図的に拡散し、台湾社会に孤立感を植え付けようとしていると分析した。

蕭副総統は、これらの手法は極めて典型的な「いじめ」の構図に似ていると説明した。学校におけるいじめのように、友人を作れず、誰も味方になってくれず、孤立した状態に追い込まれる構図である。国際社会においても、台湾を孤立させ、他国を訪問できないようにし、国際機関への参加を阻み、世界の公衆衛生や安全保障への貢献の機会を奪うことが狙いだという。これら一連の制限と友好関係の分断行為の最終目的は、台湾を屈服させることにあると指摘した。

こうした圧力は現在も継続しており、一定の進展を見せている部分もあるが、台湾は決して屈しないと蕭副総統は強調した。台湾は、メディアリテラシー教育の強化、民主的政治制度の深化、軍と政府、そして市民の間の信頼関係の構築を進めるとともに、米国とのパートナーシップをさらに強化することで、中国による社会分断工作や国際的孤立化の試みに対抗していく考えを示した。

蕭副総統は、まだ課題は多いものの、着実な努力を続けることで、必ず前向きな進展が得られると結び、台湾社会のレジリエンスに対する自信を示した。

注:War Roomはトランプ大統領一期目の初代ホワイトハウス首席戦略官スティーブ・バノンのポッドキャスト番組であり、アメリカでは右派メディア番組と見なされている。今回のインタビューは、頼政権がアメリカの保守派・右派政治家の支持を取り付けようとする試みと見られている。

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