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台湾は中国の情報戦と破壊工作の“実験場”、国家安全保障会議諮問委員が国際会議で警告(2025年12月)

台湾国家安全保障会議の諮問委員である李育杰氏は、2025年12月4日から5日にかけて豪州で開催された国際会議「シドニー・ダイアログ」に登壇した。同会議は有力シンクタンク、ASPI(Australian Strategic Policy Institute)が主催するイベントで、情報セキュリティおよび新興テクノロジーをテーマとした国際的な研究・対話の場として知られる。

李氏が登壇した座談会のテーマは「テクノロジーとハイブリッド脅威」。民主国家が直面する脅威はかつてよりも規模が大きく、組織的で、変化のスピードも速いと指摘し、その最前線に立たされているのが台湾であると強調した。

具体例として、中国による情報戦の実態を挙げた。李氏によれば、中国は台湾のクリエイターに継続的な資金提供を行い、親中プロパガンダを拡散している。また、ショッピングサイトなどを通じて個人情報を窃取する行為も確認されており、こうした攻撃は社会の信頼基盤を揺るがす深刻な脅威だという。

李氏によれば、中国は台湾を情報戦および破壊工作の「実験場」と位置づけ、偽情報の拡散や個人情報の窃取といった非対称かつ低コストの手法を駆使し、認知戦を展開している。こうした攻撃は、台湾社会の分断を意図的に深め、相互の信頼関係を損なうだけでなく、そこで得られた経験を他の民主国家にも応用しようとする狙いがあるという。

さらに李氏は、ハイブリッド戦の主戦場がインターネットやテクノロジーの領域に顕在化している現状を指摘。民主国家は連携を強化し、共に考え、共に行動することでハイブリッド脅威に対処し、民主主義を守る必要があると強調した。

今回の「シドニー・ダイアログ」には豪州、米国、英国、日本、台湾、韓国、インド、インドネシア、NATO、EUなどから政府関係者や民間組織の専門家が参加。AI、サプライチェーン、ハイブリッド脅威、量子技術、さらにインド太平洋地域におけるデジタル化と地政学といった多様な議題について議論が交わされた。

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