台湾国防部軍事情報局の元局長で退役中将の劉徳良氏は、2025年11月12日に中央社のインタビューを受け、沈伯洋立法委員が中国側から「台湾独立頑固派」と認定され、重慶市公安局により指名手配された件について言及した。劉元局長は、これは中国が本格的に対台湾「法律戦」を展開し、対台湾圧力を段階的に強化していることを示すものだと指摘した。
劉元局長は、中国の一連の行動について、まず世論操作を行い、次に法的認定を進め、さらに国際的な指名手配へと拡大していく流れがあると分析する。表面的には台湾の一般市民と直接関係がないように見えるが、実際には強い心理戦効果を持つと述べた。
また、多くの国が中国と犯罪人引渡条約を締結していることにも触れ、「そのような国を訪問すれば、引き渡されるリスクが生じる可能性がある」と警告した。
これらの法律戦術は従来、中国国内で主に実施されてきた。しかし現在、台湾の特定人物に対して公開で指名手配を行うことは、中国の対台湾統一戦線政策および浸透戦略がすでに「網を締める最終段階(收網段階)」に入りつつあることを示すものだという。その目的は、「恐怖によって出国できない状況を作り出すこと」にあると劉氏は指摘する。
中国の対台湾浸透について、劉元局長はかつての国安部門による分析を引用し、台湾に潜伏する中国スパイはおよそ5,000人と推測されていたと述べた。しかし、中国の国力および投入資源が大幅に増大している現在、実際の人数はその推測を大きく上回る可能性があるとする。
「国力が強まり、資源が増加している状況で、浸透が減少するとは考えにくい」としたうえで、「台湾に存在する『第五列(国内の内部協力勢力)』が約3万人に達するとの推測もある。明確な証拠はないが、情報実務の経験から判断すれば、浸透規模は決して小さくない」と述べた。
国安局の統計によれば、2020年から2025年11月までに、中国のスパイ事件として起訴された人数は159人にのぼる。そのうち現役および退役軍人は95人で、全体の約6割を占める。この数字は、中国の浸透対象が高級軍事関係者に限らず、より広範囲かつ多元的な手法へと拡大していることを示している。
これについて劉元局長は、中国による浸透および心理戦が日々強化されている現状を踏まえ、台湾社会は中国の情報工作に協力する存在とならないためにも、警戒心と防衛意識を一層高める必要があると強調した。