CIGS中国研究センター

現地報道からの情報
CNN報道の一節が歪曲され「台湾外交の挫折」と誤解拡散
専門家らが認知戦の手法と指摘(2025年11月)

10月末にCNNが報道した台湾外交に関する記事中に、「台湾の外交部長が参加するニューヨークでの会合に、予定されていた複数の米国政府高官が出席しなかった」という記述が含まれていた。しかし、この一節をもとに、一部の台湾メディアやインフルエンサー、さらには中国の官製メディアが内容を歪曲し、「宴会は台湾政府が主催したが、米国政府関係者は一人も参加しなかった」と報じ、これを「台湾外交の挫折」とする論調を展開した。

実際のところ、CNN報道が言及している会合は、米国のコンサルティング会社 America Global Strategies(AGS)が主催したものであり、台湾政府は主催者ではない。林佳龍外交部長は、元国家安全保障担当補佐官のロバート・オブライエン氏の招きを受け、レストラン「Le Bernardin」で開催された同会合に参加し、元NSC首席補佐官で現AGSのCOEであるアレクサンダー・グレイ氏、マイク・ウォルツ駐国連大使をはじめとする米政府関係者と同席した。国連期間中に開催された同会合には、パラオ大統領をはじめ、多くの外交代表者も出席していた。

米国に拠点を置く非営利組織・米国台湾観測站(*注1)は、ファクトチェックを行った結果、「CNNの原文は台湾の近年の外交努力を肯定的に評価しており、全体として台湾が多くの支持を得ていると報道している。台湾国内で流布された情報は、明らかに内容を歪曲している。」と指摘した。

また、杜奕瑾氏(*注2)も、今回の事例は「① 海外メディアの報道を誤訳または歪曲する、② 影響力のあるインフルエンサーを通じて情報をさらに誇張・拡散する、③ 主流メディアがインフルエンサーの言説を引用し、誤った内容を補強する、④ ネット上の協力者が偽情報を拡散するという四つの特徴があり、典型的な認知戦の手法である」と指摘している。
林佳龍外交部長も同様に、この一連の情報操作は正に認知戦だとコメントした。

*1:米国台湾観測站(US Taiwan Watch)は、米国に拠点を置く非営利組織。台湾・東呉大学政治学科教授の陳方隅氏らが運営している。台湾の読者に対して米国の政治、外交、安全保障政策に関する情報を紹介している。

*注2:杜奕瑾氏は台湾の情報セキュリティ専門家であり、PTT(台湾最大の電子掲示板)および台湾AIラボの創設者。近年、ネットでの認知戦と偽情報を研究している。

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