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台湾の裁判官が、米議会で中国の対台湾浸透手法を解説(2025年10月)

台湾台北地方法院(地裁)国家安全保障専門法廷の裁判官、許凱傑氏は10月2日、米国の中国問題に関する連邦議会・行政府委員会(CECC)に出席し、中国の法律戦や台湾に対する浸透手法を報告した。報告では主に、中国の法律戦による侵略行動の合法化や実際の武力行使には至らない「グレーゾーン行動」の正当化、台湾に対する浸透手法を解説した。浸透手法として、機密漏えい、組織、社会分断、科学技術の漏えい、選挙への介入、グレーゾーン行動の六つを挙げた。
機密漏えいに関しては、軍人が最初は冗談のつもりで投降取り決めに署名したことで、後に中国側から脅迫を受け、資料を提供せざるを得ないケースが多数発生している。組織を通じた浸透は、同郷会や同窓会、町内会の中国旅行などで主に行われている。また、中国が台湾の政党に対してスパイを潜入させる行為は、いかなる政党を対象とする場合であっても、台湾社会の分断を狙った戦略的手段の一環と見なされる。科学技術における浸透政策では、背後に中国資本が入っている企業を通じて台湾の科学技術産業をコントロールしたり、スパイを特定の企業に派遣したりするなどして中核的技術を盗み取る可能性があるとした。選挙への介入は選挙期間に行われるが、証明しにくい。グレーゾーン行動では、台湾周辺の海底ケーブルが破壊される事案は今後ますます増加する可能性が高い。そのため、国際社会において、通報体制の整備や不審船舶の追跡・摘発などを含む協調的な役割分担をどのように構築するかは、通信インフラの保全のために極めて重要である。浸透行為を理由として台湾で起訴された中国人の数は2022年の28人から年々増加し、24年には168人まで増加した。

許裁判官は、台湾の国防安全研究院が主催した「2025台北安全対話」に参加した際にも、「中国による対台湾の三戦(法律、宣伝、心理)は、すでに社会のレベルにまで拡張されており、その浸透対象は、かつての高級軍人から基層の兵士および一般市民社会にまで広がっていると指摘している。中国の工作員は偽名を用いて、監視、さらには脅迫などの手段を通じて、台湾社会内部の信頼関係を徐々に崩壊させ、その結果として、台湾の全体的な抵抗力および国際社会からの支持を弱体化させることを目的としている、という。そして、浸透を防ぐための鍵は、国民全体の意識を高めるとともに、新たな民主主義時代にふさわしい法制度の枠組みを構築することにある。各政府部門が連携し、かつ友好国との間で共同防衛メカニズムを構築することにより、権威主義的勢力の浸透に対抗することが可能となる、と許裁判官は述べた。

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