国民党主席選挙をめぐり、中国による介入疑惑が浮上している。元副総統候補の趙少康氏は、9月12日から10月12日の1ヶ月間にTikTok上で投稿された関連動画が1790本にのぼると指摘。その中でも、主席に当選した鄭麗文候補を支持・評価する内容が最も多く、一方で趙自身やもう一人の主席候補・郝龍斌氏を攻撃・中傷する動画も多数確認された。
こうした動画はTikTokにとどまらず、Facebook、YouTube、Threads、LINEなど複数のSNSプラットフォームでも拡散され、膨大な再生数を記録。趙氏は「背後には資金力、人材、技術力を備えた組織的な支援がある」との見方を示した。
国家安全局の蔡明彦局長は10月15日、当該事案について調査を開始したことを認めた。調査によれば、特定候補者を標的とした偽アカウントやAI生成のフェイク動画が海外から発信されており、中国共産党の宣伝部門(中宣部)、統一戦線工作部(統戦部)、さらには人民解放軍との関連があるとされる。
さらに10月19日、ある情報筋によって、中国がリーダー級の会議を開催し、「北京と共通の認識を持つ候補者を支持し、頼清徳政権を打倒する」という方針を明確にしたとの報道も出ている。中国政治研究の第一人者である林和立(*1)氏も、「中国当局は国民党の立法委員と直接通話することが可能であり、具体的な指示を伝えることもできる状況にある」との見解を示している。
この件に関して、中国国務院台湾事務弁公室の陳斌華報道官は15日の記者会見で、「我々は国民党主席選挙に注目しているが、これは国民党内部の問題である。中国の一部ネットユーザーの発言は、公式な立場を代表するものではない」とコメントした。
*1:林和立(ウィリー・ラム)氏は、香港出身のジャーナリスト・政治学者。中国共産党の動向に精通し、批判的かつ独立した視点で知られる。