CIGS中国研究センター

現地報道からの情報
中国、台湾のサイバー軍20名を指名手配 個人情報を公開(2025年6月)

中国・広東省広州市公安局は2025年6月5日、台湾の「資通電軍(サイバー軍に相当)」所属とされる20名が中国企業に対するサイバー攻撃を行ったとして、指名手配を公告した。

これに対し、台湾のサイバー軍指揮部は声明を発表し、「サイバー軍の核心任務は国防情報の安全維持とインターネットセキュリティの確保である」と強調。中国側が一部の軍人の個人情報を基に「企業へのサイバー攻撃を実行した」とする主張は事実無根であり、「中国こそが世界のネット空間における主要な脅威だ」と反論した。

さらに、広州市公安局が5月20日と27日に中国企業がサイバー攻撃を受けたと発表した後に官製メディアや国台弁が相次いで宣伝、その上で、6月5日の指名手配公告に至った一連の流れについて、指揮部は「明らかに文脈を構築した情報操作であり、台湾世論への威嚇と圧力を示すものだ」と批判した。

サイバー軍指揮部の周文祥参謀長によれば、中国側が公表した情報の多くはネット上の古い資料を加工したもので、リストに掲載された人物の約3分の2はすでに退役しており、現職にある者はごく少数だという。また、中国が公開した個人情報は「過去にFacebookに掲載されていたもので、すでに昨年削除されている」と説明した。

国防部の顧立雄部長は会見で、サイバー軍人員の個人情報保護を強化する方針を示し、「ニックネームの使用などの隠蔽措置を講じ、『国家情報工作法』に基づく内部統制を徹底する」と述べた。

6月半ばに中国が発表した調査報告「蚍蜉撼樹(アリが大木を揺るがそうとする愚かな試み)」について、国防大学の曾于蓁准教授は、中国語版と英語版では内容は類似しているもののナラティブの方向性は異なると分析した。中国語版は政治色が強く、敵味方の対立や民進党政権とアメリカの「つながり」を強調することで中国国内の読者を想定していると指摘。一方、英語版は「ナラティブ外交」の性質を帯びて、台湾を「民主主義の被害者」から「潜在的なネット加害者」へと位置づけ直して、国際社会における台湾の正当性や各国とのサイバーセキュリティ協力に対する信頼を低下させることを狙っているとの見方を示した。

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