CIGS中国研究センター

現地報道からの情報
中国による統一戦線工作の対象が低年齢化 監察院の調査報告が警鐘(2026年8月)

中国は長期にわたり、台湾の若者を対台湾統一戦線工作の重点対象と位置付けてきた。2023年に新型コロナウイルスの感染状況が緩和されて以降、台湾の学生が中国を訪れて交流活動に参加する人数は爆発的な増加を見せている。注目すべきなのは、中国による対台湾統一戦線工作の手法がますます多様化・巧妙化しているだけでなく、その対象がさらに「草の根まで」という傾向を見せていることである。教育部の最新統計によれば、2025年には中国を訪れて交流活動に参加した小学生の数が1000人を突破した。両岸の青年交流は深刻な「一方向・不対等」のアンバランスな状態となっており、政府および国家安全保障当局の強い懸念を招いている。

監察院の林文程委員、田秋堇委員による調査報告によれば、教育部のプラットフォームに記録された過去の統計では、台湾の各教育段階における中国訪問・交流の人数は2022年から大幅に増加している。従来の大学・短大などの学生を中心とした交流に加え、中国の統一戦線工作は明らかに中学校・小学校へと拡大している。

一、小学校段階:2022年はわずか38人だったが、2025年には1,045人へと急増し、増加幅は27倍を超えた。

二、中学校段階:2022年は0人だったが、2025年には1,021人へと急増した。

三、高校・高等職業学校段階:2022年の676人から、2025年には1,161人へと増加した。

四、引率教員:2022年の661人から、2025年には1,281人へと倍増した。

五、大学・短大など:2025年には5,745人に達し、こちらも倍数規模で増加した。

安全保障部門および海峡交流基金会(海基会)の専門家によれば、このような文化交流を装った「統一戦線団体」は、全額無料や現地での全面的な接待など、通常では考えにくい優遇措置を通じて、参加者を中国の「レッド・サプライチェーン」や愛国教育基地へ案内し、さらには中国側が用意した「模範的な台湾青年」との交流を設定することもある。その核心的な目的は、中国の強大さを印象付け、「同じルーツを持つ」という雰囲気を形成することによって、台湾の若い世代が自由と民主主義に対して抱く認識を弱めることにあるとされる。

さらに、監察院の調査では、教育部の「中国渡航教育交流登録プラットフォーム」に数多くの不備があることも明らかになった。2019年から2025年までの間に、計32校・32件、19件の活動が「報告漏れ」または「規定に違反した協力公告」を理由として処分・調査の対象となった。しかも、これらの問題はいずれも通報や報道によって初めて明らかになったものであり、政府機関が自ら発見したものではなかった。

規定違反が最も多かった学校は東海大学(5回)、文藻外語大学(3回)で、国立台湾大学、逢甲大学、淡江大学、銘伝大学などがそれぞれ2回、また国立台湾師範大学、国立政治大学など16校がそれぞれ1回となっている。多くの学校は「行政上の手続き上の不備」または「規定を十分に把握していなかった」ことを理由として、学生の中国訪問・交流を登録しなかったり、中国側の活動の告知に協力したりしていた。さらに4校では、「教員が独自に学生を募集して中国へ連れて行く」という事例も確認された。

頼清徳総統が示した国家安全保障上の対応策を踏まえ、監察院は大陸委員会(陸委会)と教育部に対し、登録・審査制度を全面的に見直し、その実施を徹底するよう求めている。これについて陸委会は、教育部と引き続き連携し、「中国渡航教育交流登録プラットフォーム」の機能を改善することで関連制度を整備し、各教育機関を指導していくと説明した。また、ソーシャルメディアなどさまざまな経路のほか、記者会見、学生向けキャンプ活動などの場を活用し、中国・台湾間の交流のために中国を訪問する際のリスクや、両岸の学術・教育交流において注意すべき事項について、学生や関係者に注意喚起していくとしている。

中国による台湾の青少年を対象とした統一戦線工作が絶えず低年齢層へと拡大していることを受け、陸委会は教育部などの関係機関と連携し、国内の各大学の一般教養センターおよび民間の学術・専門資源を結集している。これにより、学校の教員や学生が中国大陸に関する情報を読み解くための教育を強化し、中国による統一戦線工作に対する警戒心を高め、両岸の健全かつ秩序ある文化・教育交流を維持するための取り組みを積極的に支援している。

なお、民間団体が学生を募集して中国大陸での活動に参加させる場合、規定違反や不適切な活動に該当する可能性がある。そのような情報を把握した場合、陸委会はまず追加の情報を収集し、関連規定に違反する可能性があるかどうかを確認した上で、所管機関に送付して処理を求める。また、状況に応じて関係機関とともに省庁横断で協議を行うとしている。

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