CIGS中国研究センター

現地報道からの情報
台北市議選候補を起訴 立法院機密漏洩事件の背後に中国「海峡導報」(2026年4月)

台北地検は2日、国家安全法違反などの罪で、民進党の台北市議選予定候補者で、党内予備選の勝者である朱政騏を起訴した。検察によれば、朱は職務権限を利用し、立法院の機密文書の内容を探り出し、これを撮影・複写した上で、専用携帯電話を通じて中国籍の王姓の男性に送信し、報酬として2万人民元(約40万円)を受け取っていたという。

自由時報の独自報道によると、この王姓男性は中国の対台湾統一戦線工作を担当する中核的な官製メディア『海峡導報』のニュースセンター主任である王煒であるという。王は取材名目で台湾に10年以上滞在していたとされる。

福建日報報業集団傘下の『海峡導報』は、長期にわたり台湾に対する統一戦線工作や浸透工作を行ってきたと指摘されている。台湾の大陸委員会は2025年1月、同メディアについて「一般的な新聞社ではなく、明確に統一戦線工作の性質を持つ中国政府の宣伝機関である」との認識を示した。また過去には、同メディアの関係者である林靖東が中国から資金提供を受け、世論調査結果を捏造するなどして台湾総統選挙に影響を与えようとした疑いも指摘されている。台湾政府は2025年、同メディアの駐在許可を凍結した。

検察の分析によれば、王煒は『海峡導報』の記者として台湾に駐在していた期間、継続的に政治関係者の側近らと接触し人脈を形成しており、その行為は情報収集活動に該当するとみられている。また今回の朱の事件は、行政院の退職職員である胡鵬年の案件を契機として発覚したという。

捜査によれば、朱と王の間には密接な関係があり、2022年には朱が「機密」級とされるPDF文書の写しを王に送信していたほか、国家安全機関による監視リスクを低減する目的で、王氏が朱氏にiPhone 13 Proを通信・データ送信のための連絡ツールとして提供していたとされる。

バックナンバー