ヨーロッパの安全保障関係者は27日、中国がビジネス向けSNS「LinkedIn」を利用し、偽アカウントを通じてNATOおよびEU関係者に接触し、機密性の高い情報の取得を試みていると明らかにした。当該関係者によれば、この活動は中国国家安全部が主導している可能性が高く、複数の偽アカウントを用いて数十人規模のNATO・EU関係者を標的にしているという。
中国側の工作員は、LinkedIn上で人材コンサルタントやヘッドハンターを装い、まずは有償レポートの執筆や政策分析の提供を依頼する。その後、段階的に非公開情報や機密性の高いデータの提供を求める手法を取っているとされる。
なかでも特に活発に活動していたとされるアカウントは、「Kevin Zhang」を名乗り、自身を香港の「Oriental Consulting」という企業の取締役と称していた。しかし、関係者によれば、この企業は実在が確認されていないという。
また、情報提供の見返りとして、フランス、ベルギー、イギリスなどで接触を受けた関係者には内容に応じて数百ドルから数千ドル規模の報酬が提示されていたとされる。
ベルギーのアネリース・ヴェルリンデン(Annelies Verlinden)法務大臣は、「ここ数年、世界各地の公務員、研究者、そして影響力を持つ人物が、中国情報機関の関係者と接触していた事例が相次いで確認されている」と指摘した。そのうえで、今回のケースについても、「すでに大量の重要情報が中国側へ流出している可能性がある」と警鐘を鳴らしている。
ヴェルリンデン法相はさらに、「インターネットはあらゆる問題の温床になり得る」と述べ、大国がオンライン空間を通じて、報酬を対価に人々をスパイ活動や宣伝活動へ誘導できる時代になったとの認識を示した。
関係者によれば、中国側が特に強い関心を示しているテーマは、EUによる対中制裁や関連政策、さらにNATOのアジア戦略、とりわけ台湾海峡情勢に関する部分だという。