CIGS中国研究センター

現地報道からの情報
卓栄泰行政院長の東京ドーム訪日に中国が猛反発 「こそこそ訪問する卑劣な行為」と非難(2026年3月)

3月7日、WBC期間中に行われた台湾・チェコ戦を観戦するため、台湾の卓栄泰行政院長が東京ドームを訪れた。1972年の日中国交正常化に伴う中華民国との断交以降、現職の行政院長が日本を訪問するのは初めてとなる。

これに対し、中国側は強く反発した。中国国務院台湾事務弁公室(国台弁)の朱鳳蓮報道官は、「竄訪」(こそこそ訪問)という表現を使い、「卓栄泰らによる『独立』の企ては、卑劣な小細工を弄するもので軽蔑すべ行為(雞鳴狗盜、令人不齒)」と厳しく非難。さらに中国外交部の郭嘉昆報道官は9日の記者会見で、台湾との関係を強化する日本の動きに「断固反対する」と表明し、「日本の挑発的な行為には必ず代償が伴い、その結果はすべて日本側が負うことになる」と牽制した。

中国側はあわせて、「台湾独立」勢力への取り締まりを継続し、外部勢力による台湾問題への介入に断固反対する姿勢を改めて強調。「国家主権と領土の一体性を断固として守る」との従来路線を繰り返した。

一方、台湾側は即座に反論した。翌10日の記者会見で、台湾外交部の蕭光偉報道官と、対日窓口機関である台湾日本関係協会の林郁慧副秘書長は、「台湾と日本は地理的に近く、民間感情も極めて良好だ」と強調。そのうえで、「双方は自由、民主、人権、法の支配といった価値観を共有するパートナーであり、インド太平洋地域の平和と安定を支える重要な力だ」と述べ、中国側の批判をけん制した。

さらに両氏は、日本の高市早苗首相が長年にわたり台湾支持の立場を示してきたことに触れ、「日本政府全体として台湾に友好的な姿勢を取っている」と説明。木原稔官房長官や茂木敏充外相も、台湾との交流・協力深化に前向きな姿勢を公言しているとして、「日台関係の推進は日本政府の基本方針であり、日本社会のコンセンサスでもある」と語った。

台湾外交部は今後についても、「総合外交」の理念のもとで日本との協力をさらに拡大し、各分野における交流と協力を深化させる方針を示した。「ウィンウィンの包括的パートナーシップ(全面的パートナー関係)」を構築していく考えを改めて打ち出している。

また、台湾の大陸委員会も中国側の反応に強く反発した。同委員会は、「卓栄泰氏は台湾行政のトップであり、台湾代表チームを応援するのは極めて自然なことだ」と指摘、「『竄訪』などという表現が、いったいどこから出てくるのか」と批判した。そのうえで、「台湾海峡の平和と安定を損なっているのは誰なのかを中国自身が省みるべきだ」と主張し、中国に対して「些細な問題を過度に政治化しないこと)」「台湾の人々を侮辱し、感情を傷つける発言を控えること」を求めた。

バックナンバー