中国国民党の蕭旭岑副主席は2月2日、同党系シンクタンク「国政基金会」の李鴻源副董事長および約40名の専門家・学者とともに北京に到着し、国民党と中国共産党のシンクタンクが共催する「国共両党智庫論壇(国共フォーラム)」に参加した。
一行は同日午前11時に北京首都国際空港に到着し、中国側の対台湾窓口である国台弁の幹部が出迎えた。その後、午後2時半ごろに中国大飯店に入った。蕭副主席は台湾メディアの取材に対し、今回の交流について「極めて重要であり、大きな意義を持つ」と強調した。
さらに蕭副主席は、鄭麗文主席から「国共両党間の意思疎通のプラットフォームを再開し、台湾の産業界や各分野の専門家を率いて中国側と積極的に対話し、コンセンサスの形成と協力の可能性を模索するよう指示を受けた」と説明。台湾社会においても両岸交流の再開を支持する声は少なくなく、交流が将来の選挙に直接的な影響を与えるものではないとの認識を示した。また、中国側の対応については「高いレベルの善意ある接遇を受けている。我々は客であり、主催側の安排を尊重する」と述べた。
同フォーラムは翌3日に北京で開催され、主催は中国共産党中央台湾工作弁公室海研中心と国民党系シンクタンクが担った。
一方、台湾の大陸委員会(陸委会)は同日、国民党の訪中およびフォーラム参加に対して厳しい見解を発表した。陸委会は、中国が近年、軍事・経済・外交を含む複合的な圧力を台湾に加え、「統一」を既定路線として推し進めていると指摘。そのような状況下で、国民党がいわゆる「九二コンセンサス」を前提とした枠組みに歩調を合わせ、中国共産党とフォーラムを共催することは「極めて遺憾」であると批判した。
さらに陸委会は、2019年に示された「習五条」(*注)によって、「九二コンセンサス」が「両岸は同じ中国に属し統一を目指す」と再定義され、「一つの中国原則」や「一国二制度」と一体化した対台湾政策が形成されていると分析。こうした枠組みの下では中華民国の存在余地は極めて限定的であるとし、台湾世論の8割以上が「一国二制度」に反対している現状を踏まえれば、国共両党の政治的立場は主流民意とかけ離れていると指摘した。
また、中国は近年、軍事演習や航空・海上での圧力に加え、経済的威圧、認知戦、外交的な圧迫、グレーゾーン作戦、そして「台湾独立勢力を処罰」との理由で台湾の政治家、立法委員、司法人員、軍人と国民に違法の「域外管轄」または「越境弾圧」などの法律戦を仕掛けていると批判。台湾人の中国渡航に伴う失踪事件、拘束や調査といったリスクも高まっているとし、中国の台湾に対する敵意は増加の一途だと述べた。現在の両岸情勢は、過去に比べて緊張しており、台湾の与野党はより一丸となって国家主権と国家利益を守るべきだと強調した。
あわせて、政府の授権を受けていない政党や団体が、中国側と公的権限や政治議題に関わる合意を結ぶことは許されないと強調。交流はあくまで法令遵守と「対等・尊厳」の原則に基づくべきであり、中国の統一戦線工作に利用され、国際社会の認識を歪めることがあってはならないと警告した。
その上で、両岸に関わる公的な交渉や意思疎通は政府が責任を持って担うべきであり、民間や政党間の交流がこれに取って代わることはできないと指摘。中国に対しては、中華民国と中華人民共和国が相互に隷属しないという現実を直視し、圧力や分断工作を停止した上で、台湾の民選政府との建設的な対話に立ち戻るべきだと訴えた。これこそが、両岸関係を安定的かつ前向きに発展させるための現実的な道筋であるとしている。
*注
2019年1月2日、習近平中国国家主席が「台湾同胞に告げる書」発表40周年記念式典で示した中国の対台湾政策に関する5項目の基本方針。