2025年12月26日、台湾行政院は、中国による対台湾の統一戦線工作や浸透・分断工作への対抗を目的として、「両岸人民関係条例(台湾地区と大陸地区の人民関係に関する条例)」の一部改正案を承認した。改正案には、立法委員の中国訪問に事前許可を義務付けるほか、公務員の中国渡航を全面的な許可制へと改めるなど、規制を大幅に強化する内容が盛り込まれている。今後、立法院で審議される見通しだ。
これに対し、国民党の立法院院内会派は翌27日に発表した声明で強く反発した。両岸関係が交流と競争の双方に直面する中で、頼清徳政権は公務員を中国大陸に派遣する勇気さえ持たないと批判し、「これは台湾国民にとって不幸なことだ」と指摘した。同会派はまた、両岸間の敵意を和らげ、相互信頼を高め、誤解や誤判断を防ぐためには、実質的な交流こそが不可欠だと強調した。そのうえで、「もし頼清徳総統が自ら率いる中華民国に自信を持っているのであれば、なぜ両岸交流を恐れるのか」と疑問を投げかけた。
中国側もこれに呼応する形で批判を強めている。国務院台湾事務弁公室(国台弁)の張晗報道官は、民進党政権について「独立を謀る本性に基づき、あらゆる手段で両岸交流を制限し、関係を破壊している」と非難した。さらに、台湾内部で「台湾独立的な統治体制」や「グリーンテロ」を進め、社会に恐怖と不安を広げている結果、これに対する反発や批判が拡大していると主張した。
一方で張報道官は、「平和・発展・交流・協力」を求める民意は抑えられず、両岸交流と協力の流れもまた止めることはできないと強調した。
これに対し、台湾の大陸委員会(陸委会)は、2025年4月に実施した世論調査を根拠に反論した。同調査では、7割以上の民衆が中国による対台湾浸透工作の深刻化を認識しており、立法委員の中国訪問を許可制に改めることにも70.9%が賛成しているとされる。陸委会は、今回の法改正が社会の期待に合致するものであると強調した。
さらに陸委会は、改正の背景として、中国が近年、台湾の公職者を違法に拘束し、公務上の情報や機密の提供を強要する事例が繰り返されている点を挙げた。加えて、帰国後に機密情報の持ち出しや組織的活動への協力を強要されるケースもあるとし、公務員の安全確保と機密保護の観点から規制強化は不可欠だと説明した。
陸委会はまた、こうした防御的措置が中国の統一戦線工作や浸透活動にとって不利となるため、中国側が強く反発しているとの見方を示した。