2025年12月19日、立法院において、反越境弾圧イニシアティブチーム(反跨境鎮圧倡議行動団隊)と与野党の立法委員、さらには複数の市民団体代表が連名で記者会見を開いた。出席者には、民進党の陳冠廷立法委員、黄捷立法委員、民衆党の陳昭姿立法委員のほか、公民監督国会聯盟の張宏林執行長、台湾客社の陳彩仁社長、台湾教師聯盟の潘威佑理事長、北社の羅浚晅社長らが名を連ねた(*注)。
会見で黄捷立法委員は、中国による越境弾圧の狙いについて、「台湾社会に恐怖を植え付けるだけでなく、人々に自己検閲を強い、沈黙を余儀なくさせることにある」と指摘した。さらに、こうした圧力が国際社会に対して、中国が台湾に実質的な管轄権を有しているかのような誤認を生じさせる意図も含んでいると警鐘を鳴らした。
一方、陳昭姿立法委員は、中国による台湾への圧力は長年続いてきた既成事実であるとし、国連総会第2758号決議(アルバニア決議)の内容さえ歪曲して台湾の主権的地位を曖昧にしてきたと批判。そのうえで、現在では越境弾圧にまで手を広げていると指摘した。民衆党としての立場は明確であり、中国には台湾人の人権を侵害する権限はなく、台湾政府には国民の安全と自由を守る責任があると強調した。
台湾における中国研究の第一人者であり、台湾大学名誉教授の明居正も、中国の「域外管轄」と越境弾圧は決して一部の「特定の敏感人物」に限られるものではないと分析する。むしろ現在では、非共産党員であれば誰もが潜在的な対象となり得るとし、台湾社会は一見安全に見えても、すでに中国の影響が浸透しつつあると警告した。そのうえで、民主主義を守るためには社会全体の警戒と連帯が不可欠だと訴えた。
また、中国における臓器移植問題を扱ったドキュメンタリー映画『国有器官』の台湾配給を手がける雄獅影視文化有限公司の責任者である管建忠は、同作品を台湾に導入して以降、150通を超える脅迫メールを受け取ったと明らかにした。さらに、台湾人権文化協会の陳志祥副理事長は、中国が民進党の沈伯洋立法委員に対する指名手配を発表した件について、「中国は台湾や他国で実際に逮捕を行うことはできず、これはあくまで政治的な宣言に過ぎない」と指摘した。そのうえで陳副理事長は、台湾政府に対し、「反浸透法」に続く形で、越境弾圧に対抗するための法整備を進めるべきだと提言した。
*注
台湾客社は客家系市民を中心に主権や民主主義の擁護を掲げて活動する団体。公民監督国会聯盟(公督盟)は、立法院の活動を監視することを目的とした市民NGO。台湾教師聯盟は、民主主義や人権の価値を重視する教師系の市民団体であり、北社は台湾の主権を主要な関心として活動する市民団体である。