CIGS中国研究センター

現地報道からの情報
厦門に呼ばれた国民党立法委員 国防予算審議前に中国の“事前工作”か(2025年12月)

台湾メディア「自由時報」の独自報道によれば、台湾内部の政治情勢の変化に加え、米トランプ政権が台湾に対して打ち出した二度にわたる武器売却案は、中国の従来の予測や判断を大きく上回るものとなっている。こうした状況を背景に、中国在住の台湾系ビジネスマン(台商)の間では、中国共産党が台湾の野党政治家に接触し、頼清徳政権が提出した国防特別予算および国家安全関連法の改正を阻止しようとしているとの噂が広がっている。

最新の情報によれば、中国側は近く開催される「厦門台湾企業家協会」設立33周年の記念行事を利用し、国民党所属の立法委員を中国に招請する計画だという。名目上は台商への訪問や交流とされているが、実際には台湾に対する政治工作を確保する狙いがあるとみられている。

関係者によると、今回の招待は「グループ参加」という形式が取られており、党内の特定派閥の主要人物が前面に立つ形で進められている。対外的には台湾企業関係者への訪問・説明とされているが、その政治的含意は小さくない。すでに国民党立法委員の林思銘は12月19日に厦門へ到着しており、翌20日の取材に対し、今回の訪問は厦門台湾企業家協会の祝賀行事への出席であり、正式な招待を受けた極めて正当な活動だと説明した。

また、国民党立法委員の翁暁玲も20日に厦門へ向かった。翁氏は記者団に対し、「会議に出席するだけ」であり、基本的には台湾企業家協会関連の行事に参加するものだと述べた。同党所属の葉元之立法委員も同じ便に搭乗していたが、訪問の目的を問われると「分からない」とだけ答えた。

一方、これらの立法委員を招待した厦門台湾企業家協会は、設立から33年を迎える団体であり、地理的な近接性も相まって、中国共産党が長年にわたり深く関与してきた組織だと指摘されている。

2025年に海峡交流基金会が主催した「2025年大陸台商春節活動」では、頼清徳総統が来賓として招かれたものの、会場で突如、ある台湾企業関係者が「政権を担う者は騒ぎを起こすな。台湾企業家は大規模リコールに反対する」と叫び、波紋を呼んだ。この発言を行った人物は、厦門台湾企業家協会の副会長であると同時に、厦門の「一帯一路委員会」主任委員も務めており、中国側との関係が極めて深い人物だとされている。

これらの報道をめぐり、国民党広報・宣伝部主任委員であり立法委員でもある呉宗憲は22日、今回の一連の話は政治闘争を目的として捏造された虚偽情報であり、民進党内部の一部が意図的に情報を流していると反論した。その上で、通信アプリが高度に発達した現代において、仮に指示が必要であれば、対面で伝達する必然性があるのかと疑問を呈した。さらに、もし事実であれば反逆罪に関わりかねない重大問題であり、国民党の立法委員がそこまで愚かな行為に及ぶはずがないとも述べた。

当事者の翁暁玲も、民進党が国民党立法委員の厦門訪問を中傷し、意図的に国防予算問題と結び付けていると批判した。その上で、民進党政権が国民に対して明確かつ十分な説明を行うまで、国民党は立法院の程序委員会において関連法案を引き続き阻止し、安易に通過させることはないと強調した。

これに対し、民進党報道官の呉崢は、国民党立法委員の翁暁玲、葉元之、林思銘、鄭正鈐、呂玉玲、邱若華、涂権吉の計7名が、事前に対外的な説明を行わないまま中国・厦門へ出発したと指摘した。表向きには「厦門台湾商投資協会」主催の台商向け行事への参加と説明されているものの、その内容は高度に政治色を帯びており、社会的に大きな疑念を招いていると述べた。

呉崢はさらに、国民党が今後も国防予算や国家安全関連法案の審議を阻止し続けるのであれば、国民党立法委員が中国に赴いて「指示を受け、それを台湾に戻って実行している」との外部からの疑念を払拭することは困難になると強調した。その上で、国民党は台湾社会に対して明確な説明責任を果たすべきだと訴えた。

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