2025年11月9日、中国の官製テレビ局である CCTV は「台湾独立派・沈伯洋を暴露する」と題した特集映像を放映した。沈伯洋氏が世界中どこへ行っても逮捕され得ると脅迫し、国際刑事警察機構(ICPO / Interpol)を通じて沈氏を逮捕できるとまで主張した。この件に関して、11月12日、中国国務院台湾事務弁公室(国台弁)は、「どのように国際刑事警察機構を通じて逮捕するのか」と問われた際、「必要な行動を取る」と述べるのみで、具体的な回答を避けた。
沈氏は、この特集の目的は主に国内向け宣伝であり、経済不況への国民の不満から注意を逸らすためだと指摘している。加えて対外的には、副総統・蕭美琴氏と前総統・蔡英文氏のヨーロッパ訪問に国際社会が好意的な反応を示したため、その成果から目をそらさせる意図もあるという。また、特集の内容はほぼ全てが事実無根で、「米国の資金を受けて台湾独立組織を設立した」などの報道は完全な偽情報だとも述べている。
台湾側も即時に反応した。行政院大陸委員会と外交部は同日、中国の行為は国際法に反し、国際秩序を破壊する「典型的な越境弾圧」だと非難した。さらに内政部警政署も同日夜、「言論の自由は基本的権利であり、政府は国民を脅威から守る。中国政府やその関連組織の宣伝に加担しないよう願う」と国民に呼びかけた。
11月13日現在、沈氏は「独裁国家の偽情報が民主主義と人権に及ぼす脅威」をテーマとした聴聞会に参加するため、ドイツ連邦議会を訪問している。
沈伯洋氏は台湾の立法委員(国会議員)であり、学者としても認知戦・情報戦研究の専門家である。中国政府からは「台湾独立強硬派」と見なされ、中国公安当局による立案調査の対象となっている。