11月7日、蕭美琴副総統が、欧州議会で「Taiwan: A Trusted Partner in a Volatile World」と題する演説を行った。台湾外交における画期的な成果と評価されているが、インターネット上では、『「台湾が演説と引き換えに80億ユーロという巨額を寄付した」と”フランスBBC”が報じた』という虚偽の情報が流れている。
情報セキュリティ関係者の分析によれば、翌8日、中国外交部が抗議し台湾に対して攻撃的な発言を行った前後から、Threads(Meta社のソーシャルメディア、台湾でも利用者が多い)上で、「alanclu598」と「caffrey802」という2つのアカウントが不審な動きを見せた。両アカウントは発言のあった日の深夜0時と早朝6時にそれぞれ投稿を行い、「蕭美琴の講演会の会場も会議も、台湾政府が借りただけであり、名声は蕭に与えられ、費用はすべて国民負担だ」、「フランスの “BBC” によると、台湾はヨーロッパに80億ユーロを寄付し、副総統が20分ほど無意味な発言をしただけ。80億ユーロを国内建設に使えばどれほど良いか。無意味な発言をするより国民に還元すべきだ」といった内容を投稿した。
情報セキュリティ関係者はさらに、「caffrey802」について、長期にわたり常識に反する虚偽情報を用いて政府を攻撃していると指摘する。たとえば、「台湾のソーラーパネルは農地で野ざらしにされ、赤い液体が流れ出ている」、「国内でアフリカ豚熱が発生したら、政府はすぐ米国産豚肉の輸入を解禁する」など、明らかに悪意ある偽情報を拡散していたという。
同様に「alanclu598」も政府批判を繰り返すアカウントである。同時期に接近した鳳凰台風について「台湾では天が怒り、人々は恨んでいる。11月の台風が再び進路を変えて戻ってきた」「アフリカ豚熱の防疫は中央政府の責任ではないのか。まさか利益だけ受け取り、責任は負わないのか?」といった投稿をしていた。この事件に対して、台湾の刑事警察局は11月10日、当該偽情報の削除と調査を開始した。
郭雅慧・総統府報道官は、これらの投稿は明確に悪意を持った捏造であり、事実無根だと強調し、国民に対して偽情報を拡散しないよう呼びかけた。
実際、今回の講演は、蕭美琴氏がIPAC(対中政策に関する列国議会連盟)(*注1)の招待を受けて欧州を訪問し、正式に行ったものである。事実は投稿内容とは大きく異なる。11月12日、「caffrey802」こと陳姓の男は台湾に帰国した際、警察によって身柄を確保され事情聴取に応じた。
*IPAC(対中政策に関する列国議会連盟)は、2020年6月4日に設立された国際的な議員連盟。中国の人権侵害や国際秩序への挑戦に対し、民主主義国家が連携して政策を検討・発信することを目的としている。超党派で40以上の国・地域から議員が参加している。