元台北憲兵隊中士の許(姓のみ発表)は、金銭的な急用によりインターネットで融資情報を検索する過程で、中国の情報部門が設立したとされる組織「臥龍会」に取り込まれた。その後、許氏は台湾独立に反対する動画を撮影して公開するとともに、自身の兵籍に関する資料を中国側に提供し、約30万8,000元(約154万円)の対価を受領した。台北地検は11月4日、国家安全法(秘密文書漏示等)および汚職防止条例(汚職罪)に基づき許を起訴した。
許は現在23歳で、スマートフォンやバイク等の日用品を購入するための借金を負っていた。2024年9月、違法な高利貸し(闇金)情報の検索中に、軍人向けローンの広告を目にしたことから、LINE上で「LEO B」、Telegram上で「Gucci」と名乗る者(いずれも中国側の情報工作に関係するとされる人物)と接触した。許は「返済不要とされる借金」というプランに誘導され、最終的にTelegramグループ「臥龍会」への参加を勧められた。
「臥龍会」は、中国の情報部門が創設した秘密組織であり、創設の趣旨は表向き「戦争を止め、戦争を避け、平和を維持する」こととされる。同組織には多数の規定が存在し、会員は組織の指示に従って不定期に写真撮影を行うことや、有事における指示遂行を義務付けられるとされる。また、重大な秘密情報を組織に報告した者には報酬が支払われる制度があるという。さらに臥龍会は、会員に対してドラマ『零日攻撃ZERO DAY(*注)』を視聴させ、その感想を記述させることで政治的立場を示させるといった指示も出していたとされる。
検察によれば、許は組織加入の一環として「XX戦争」「XX統一」「両岸XX」といった文言を含むほか、「台湾独立反対」を主張する動画を撮影。これらの諸任務を遂行したのち、報酬を受領した。
*ドラマ『零日攻撃ZERO DAY』は台湾海峡戦争を題材とする作品であり、制作階段では、中国当局の「台湾独立強硬派リスト」に名を連ねる曹興誠氏や沈伯洋氏、ならびに黒熊学院などが協力した。このドラマは現在、中国側の認知戦やサイバー戦の主要な攻撃目標の一つとなっている。