キヤノングローバル戦略研究所外交・安全保障グループの研究員が、リレー形式で世界の動きを紹介します。
2026年9月15日(火)
[ 2026年外交・安保カレンダー ]
先週~今週の筆者の関心事は9月11日の米同時多発テロ25周年と、13日の沖縄知事選挙だ。前者については先週金曜日のプライムニュースで、後者については今週月曜日の真相ニュースでそれぞれコメントする機会があった。だからという訳ではないが、どちらも実にタイムリーで興味深い内容の番組だったと思う。
まずは同時多発テロから。9.11から四半世紀経つが、あの悲劇的事件についてはキヤノングローバル戦略研究所の辰巳由紀主任研究員が今週の「デュポンサークル便り」で詳しく書いている。彼女の言う通り、当時アメリカには、良くも悪くも、「古き良きアメリカ」が残っていた。今のワシントンとは大違いなのだが・・・。
9.11についてはキヤノングローバル戦略研究所が毎月発行する「ハイライト」の巻頭言で筆者の思いを書いた。発行は10月号になるので、ここではサワリだけご紹介しよう。辰巳主任研究員の言う通り、毎年9月11日になると、多くのアメリカ人は、「君はあの事件が起きた際、どこで何をしていたか」という話題で一日が始まる。
・・・・では、あのとき筆者はどこにいたか。当時は北京の日本大使館で文化広報を担当していた。・・・悲しかったのは、中国人の友人の一言だった。翌日、事件の話をしたらその人物は「ざまぁみろ、当然だ」と言ってのけた・・・・もう一つ外務省時代に思い出がある。1997年秋だったか、・・・筆者は同僚と共にターリバーンの本拠地カンダハールを訪れ・・・・ある大邸宅がオサマビンラーディンの住居だと知らされた。9.11事件が起きたのはその4年後。だが当時、まさか、あのオサマが大事件を起こすとは思いもしなかった・・・
色々書いたが、結論は単純。「国際テロの時代が終わったと考えるのは尚早」だということである。25年なんて人類史の中ではほんの一瞬。人間はそれほど進歩しないのだ。今のままでは、いつか米国で大きなテロ事件が起きるのではないかと、本気で心配している。この予感が外れることを心から祈っている。
続いては、もう一つの関心事項である沖縄県知事選挙について。今週の産経新聞WorldWatchには沖縄県政が遂に「本土並み」になったのでは・・・という内容のコラムを掲載する予定だ。全文は今週木曜日に掲載されるので、これも「サワリだけ」ご紹介することにしよう。ちなみに筆者、沖縄への愛着は人一倍強いと自負する。
・・・私事ではあるが、筆者の岳父は沖縄返還交渉当時の外務省北米一課長、筆者も地位協定課首席事務官、日米安保条約課長として沖縄を担当した。更には、義理の娘も石垣出身・・・、・・・その筆者が今回改めて思うのは沖縄が徐々に変化しつつあるという仮説である・・・。
1990年代以降、日本を含む世界の主要民主主義国内では経済格差が拡大し、「忘れ去られた人々」の不満と怒りが保守的な民族主義ポピュリズムに流れていったが、・・・その唯一の例外が沖縄だった。世界的潮流とは別の政治力学が働く沖縄では、つい最近までいわゆる既存の左派・リベラル・革新陣営を中心とする「オール沖縄」が優勢だったからだ。だが、最近遂にその状況は本土と同じ理由で変わり始めたのではないか・・・
ご関心ある向きはと言う今週木曜日の産経新聞をご一読願いたい。
さて、通常なら次は、吉岡明子主任研究員によるロシア関連コーナーだが、今週はお休みさせて頂く。続いては、いつもの通り、欧米から見た今週の世界の動きを見ていこう。欧米の外交専門家たちの今週の関心イベントは次の通りだ。
| 9月15日 火曜日 | イラク首相の訪独 |
| 9月16日 水曜日 | 欧州委員会委員長、年次欧州情勢演説 |
| ルワンダとコンゴ民主共和国が停戦交渉再開(2日間、7回目) | |
| 9月17日 木曜日 | カナダ首相、欧州議会で演説 |
| 伊首相のノルウェー訪問 | |
| 欧州理事会議長のアイルランド訪問 | |
| 9月18日 金曜日 | フィリピンがASEAN経済大臣会合を主催 |
| 9月20日 日曜日 | ロシアで議会選挙 |
| ノルウェー首相のカナダ訪問 |
最後はガザ・中東情勢だが、今週もホルムズ海峡をめぐる状況は変わらない。それどころか、サウジがペルシャ湾から紅海に抜ける東西パイプラインの運用を停止したことで、先週あたりから再び油価が急騰している。ヤンブーパイプラインが止まるのは、確か2度目だが、今回の方が被害は大きいかもしれない。サウジは東西パイプラインによる原油輸出が難しくなったので、文字通り「泣きっ面に蜂」ではないか。
勿論、原油価格の行方も気になるが、筆者の最大の懸念はサウジの国内情勢である。勿論「お金持ち」の国だからこの程度の被害で直ちに傾くことはないだろう。しかし、こんな状態が長引けば、必ず内政面で問題が生じるはず。そうなれば、背に腹は代えられないサウジが迷走し始める可能性も高まる。中長期的な問題かもしれないが、「サウジの安定を揺るがしているのはトランプ政権」ということになると、事態は深刻である。
いずれにせよ、先週も書いた通り、イランは「少なくとも米中間選挙までは戦い続け、むしろ防戦から攻勢に移行しつつある」だろうから、事態の早期改善は見込めない・・・だろうなぁ・・・。今週はこのくらいにしておこう。
2026年重要日程レポート37【9月14日版】
<今週以前から続く会議>
7月22日‐9月23日 欧州中央銀行(ECB)政策理事会(金融政策)
9月7日‐9月18日 国際刑事裁判所ローマ規程締約国会議、予算・財政委員会、第51回会期(デン・ハーグ)
9月8日‐9月22日 第81回国連総会一般討論
9月12日‐9月15日 SOFTECAsia 2026(クアラルンプール)
9月
<9月14日‐9月20日>
14日 インド8月CPI発表
14日 法制審議会総会(民事訴訟法見直しに関する諮問)
14日‐9月16日 G20エネルギー供給拡大閣僚級会合(米国・ヒューストン)
14日‐9月17日 欧州議会本会議
14日‐9月18日 IAEA年次総会(ウィーン)
14日‐9月18日 国際農業開発基金(IFAD)理事会、第148回会合(ローマ)
14日‐9月18日 クラスター弾に関する条約締約国による第3回検討会議(ジュネーブ)
14日‐9月22日 第58回ASEAN経済大臣会合(AEM)および関連会議(フィリピン)
15日 ブラジル7月月間小売り調査発表
15日 英国労働市場統計(5月~7月)発表
15日 中国8月固定資産投資、社会消費品小売総額発表
15日‐9月16日 ブラジル中央銀行、Copom
15日‐9月16日 アフリカグリーン水素サミット(ケープタウン)
15日‐9月16日 米国FOMC、経済見通し発表
15日‐9月17日 WTOパブリックフォーラム(スイス・ジュネーブ)
15日‐9月17日 グローバルAIサミット(リヤド)
16日 自民党役員人事(見通し)
16日 フォンデアライエン一般教書演説
16日 米国8月小売統計発表
16日 国連環境計画(UNEP)常駐代表委員会、第175回会合(ナイロビ)
16日 英国8月CPI発表
16日‐9月17日 第1回中央アジア・韓国サミット(韓国・ソウル)
16日‐9月18日 フード・イングリディエンツ・アジア・インドネシア(ジャカルタ)
17日 アフガン女子中等教育禁止から5年
17日 米イラン覚書署名から3カ月
17日 ユーロスタット8月CPI(HICP)発表
17日 シンガポール8月貿易統計発表
17日 第2次高市改造内閣発足、高市早苗首相が記者会見(いずれも見通し)
17日‐9月19日 グローバル・ソース・インドネシア・ショー(ジャカルタ)
17日‐9月21日 東京ゲームショウ2026年(幕張メッセ)
18日 SDGモーメント(グテーレス事務総長主催、総会ホール)
18日 副大臣・政務官人事(見通し)
18日 ASEAN経済大臣本会議(フィリピン)
18日‐9月20日 ロシア下院選・統一地方選
20日 第5回RCEP閣僚会合(フィリピン)
20日 独メクレンブルク・フォアポンメルン州議会選(ドイツ)
20日 ロシア下院選挙
20日 ベルリン州議会選挙(ドイツ)
20日 メクレンブルク・フォアポンメルン州議会選挙(ドイツ)
20日‐9月21日 APEC交通大臣会合(北京)
<9月21日‐9月27日>
21日 IAEA理事会(ウイーン)
21日‐9月22日 APEC人材養成大臣会合(南京)
21日‐9月25日 UNCITRAL、第4作業部会(電子商取引)、第71回会合(開催日未定)(ウイーン)
21日‐10月9日 ICAO航空航法委員会、第233回会合(モントリオール、カナダ)
21日‐10月9日 ICAO、委員会段階、第239回会合(モントリオール、カナダ)
22日 国連総会一般討論演説開始(ニューヨーク)
22日 EU一般問題理事会
22日‐9月23日 カンボジア環境科学・工学会 第1回年次大会(カンボジア)
22日‐9月23日 HRテック&イノベーション・カンファレンス&エキスポ(クアラルンプール)
22日‐9月24日 国際食品加工・包装・機械見本市「MOROCCO SIEMA 2026」(モロッコ・カサブランカ)
22日‐10月2日 国連総会一般討論(米国・ニューヨーク)
23日 国連総会、開発権宣言採択40周年記念ハイレベル会合(ニューヨーク)
23日 気候行動・公正な移行に関するハイレベルイベント(事務総長主催)
23日 モロッコ衆議院選挙
23日 ロシア1~8月鉱工業生産指数発表
23日‐9月25日 食品展示会「Expoalimentaria 2026」(リマ)
23日‐9月26日 MIHAS 2026 - マレーシア国際ハラールショーケース(クアラルンプール)
23日‐9月26日 家具・木工展(ジャカルタ)
24日 イグ・ノーベル賞授賞式(米ボストン)
24日 国連総会、海面上昇がもたらす存亡の危機に対処するためのハイレベル全体会合(ニューヨーク)
24日 米中首脳会談(ワシントン)
24日 メキシコ金融政策決定会合
24日 EU競争力担当理事会(域内市場・産業)
24日 米国第2四半期国際収支統計発表
24日 米国第2四半期対外資産負債残高統計発表
25日 EU競争力担当理事会(研究)
25日 パンデミック予防・備え・対応に関するハイレベル会合
25日 メキシコ8月雇用統計発表
26日‐10月1日 国連犯罪防止・刑事司法会議、第15回会合(アラブ首長国連邦)
27日‐9月29日 The Saudi Food Show 2026(リヤド)
<9月28日‐10月4日>
28日 メキシコ8月貿易統計発表
28日‐9月29日 IDC CIO Summit Saudi Arabia(リヤド)
28日‐9月30日 第15回カンボジア最大級の国際建築・建設産業見本市(カンボジア)
28日‐10月2日 国際工業見本市(ボゴタ)
29日 玉城デニー沖縄県知事任期満了
29日 ブラジル8月全国家計サンプル調査発表
29日‐9月30日 テック・ウィーク・シンガポール(シンガポール)
30日 チリ6~8月雇用統計発表
30日 米国第2四半期GDP(確定値)発表
30日 シンガポール人口統計
30日 ドイツ8月労働市場統計発表
30日 欧州中央銀行(ECB)政策理事会(非金融政策)
30日‐10月1日 G20貿易相会合(米国・ミルウォーキー)
30日‐10月2日 UNCTAD、国際会計・報告基準に関する政府間専門家作業部会、第43回会合(ジュネーブ)
10月
1日 中国の国慶節(建国記念日)
2日 韓国で検察庁廃止
2日 9月の米雇用統計(労働省)
4日 ブラジル大統領選
6日 8月の米貿易収支(商務省)
9日 独立国家共同体(CIS)首脳会議(アシガバート)
10日 台湾の双十節(建国記念日)式典
11日 新潟市長選告示(25日投開票)
12日‐10月18日 パリ国際自動車ショー報道公開(一般開始は13日から)
12日‐10月18日 IMF・世界銀行の年次総会(バンコク)
25日 新潟市長選投開票
29日 ECB定例理事会(金融政策発表と記者会見)(フランクフルト)
30日 7~9月期のユーロ圏GDP速報値(EU統計局)
11月
2日‐11月6日 IMO理事会第138回会合(英国・ロンドン)
2日‐11月13日 ICAO、理事会フェーズ、第239回会議(モントリオール)
3日 米中間選挙
4日‐11月8日 UPU、管理理事会、第2回定例会合(要確認)(バーン)
7日 ITU、理事会、最終会合、2026年会議(カタール)
9日‐11月20日 国連気候変動枠組み条約第31回締約国会議(COP31)が開幕(トルコ・アンタルヤ)
宮家 邦彦 キヤノングローバル戦略研究所理事・特別顧問