キヤノングローバル戦略研究所外交・安全保障グループの研究員が、リレー形式で世界の動きを紹介します。
2026年3月2日(月)
[ 2026年外交・安保カレンダー ]
先週筆者は、イランを攻撃しても「利益よりダメージの方が大きい」が、「今や、そのような攻撃が『いつ始まってもおかしくない状況』になりつつあることを危惧する」と書いた。残念ながら、この「当たって欲しくもない」予想は現実のものとなった。今週の「外交安保カレンダー」は二部に分け、今回はイラン情勢について書いておく。
「窮鼠猫を噛む」という諺があるが、この例えは2月28日に始まった「米国・イスラエルvsイラン」戦争の行方を暗示していると考える。イランを過小評価してはならない。精密誘導攻撃による短期決戦で優位に立とうとしたイスラエルと米国の試みが成功するという保証はないかもしれない。
それにしても、攻撃直前の2月26日のジュネーブ交渉では「重要な進展があった」とすら報じられていた。外交的解決の期待が膨らんだ矢先のことだったので、攻撃開始の報に驚いた向きも少なくなかったのではないか。ちなみに、米イランを間接仲介したオマーン外相は実に素晴らしい外交官である。
実際、経験豊かな中東専門家でも攻撃直前の27日に「米国がイラン攻撃に踏み切れない『やむを得ない理由』」なる小論を発表していたほど。筆者も確信があった訳ではない。ただ、長年の経験から、中東についてコメントする場合、「最悪の事態が起こる」「直ぐ起きたらどうするか」と考える癖がついてしまっている、だけだ。
Monday Morning Quarterbackという言葉がある。米国のアメリカンフットボールの試合は通常週末に行われるが、翌週の月曜朝に「結果論で、ああだ、こうだ、と無責任な批評をする輩」を指す米口語だ。筆者も「月曜の朝のクォーターバック」とならない程度で、現在の戦闘についての個人的な見立てを書いておこう。
ちなみに、先々週筆者は2月11日の米イスラエル首脳会談で「イスラエルが対イラン攻撃を決意し米国に最後通告した」という「未確認情報」をご紹介した。その情報源サイトはeverynews(https://youtube.com/@everynews-d3w?si=WKrnrBr9ziDcc9xW)であるが、今は何故かアクセスできない。
喋っていたのは保守系コラムニストのジョージ・ウィル(又はAI作成のフェイク映像か?)だった。彼は決していい加減なことを言う評論家ではない。筆者がそのサイトに2月13日にアクセスして理解した話が「当たらずとも遠からず」だとすれば、今回の戦争の本質について筆者は次のように考えている。
こんなところだろうか。この詳細は今週の産経新聞WorldWatchに書くのでご一読願いたい。今週の前半(1/2)はこのくらいにしておこう。明日には残りの後半(2/2)を書くつもりだ。
宮家 邦彦 キヤノングローバル戦略研究所理事・特別顧問