外交・安全保障グループ 公式ブログ

キヤノングローバル戦略研究所外交・安全保障グループの研究員が、リレー形式で世界の動きを紹介します。

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2026年1月6日(火)

外交・安保カレンダー (1月5日-11日)

[ 2025年外交・安保カレンダー ]


謹賀新年

この「外交・安保カレンダー」も今年で創刊(?)16年となった。正直なところ、良くまぁ続いたものだ。体力的には「毎週連載」がちょっと「シンドク」なったものの、本年も書き続けることに、勝手ながら、決めた。親愛なる読者各位には心より感謝しつつ、引き続きご愛読方宜しくお願い申し上げたい。

さて、新年早々からベネズエラで起きた事件に振り回されてしまった。せっかくの正月気分も台無しだったが、この「米国の連邦捜査当局による、米軍等の支援を得て行われた、ベネズエラ国内での米国内法上の犯罪人の拘束と、ニューヨークへの連行」という事件の概要は既に多く報じられているので、ここでは繰り返さない。

また、この事件の意味合いについても、今週の産経新聞World Watchに法的、歴史的、米国内政治的、国際政治的な視点からかなり詳しく書いたので、ご一読願いたい。ちなみに、本事件の米国内での説明ぶり等については、今週の辰巳由紀主任研究員の「デュポンサークル便り」が興味深いので、そちらも是非ともご一読願いたい。

という訳で、本稿では、あの事件から数日を経て、改めて事件の詳細を振り返りつつ、筆者が考えたことを書くことにしよう。以下は、産経新聞等に書けなかった筆者の追加的気づきの点である。新年早々、若干「人を憂鬱にさせる」内容かもしれないが、暫くお付き合い願いたい。

実は先ほどCNNでトランプ政権の次席大統領補佐官(政策担当)インタビューを聞いていた。産経新聞に書いた通り、法的、歴史的に見て、あの事件が起きた理由についてはある程度推測がつくので、インタビューを聞いても別に驚かなかった。あの次席補佐官の話で筆者がほぼ確信したのは、次の諸点である。

  • トランプ政権内では、ベネズエラにおいて同国大統領夫妻を拘束・連行するところまでは、合意があったのだろう。
  • しかし、今後米国がベネズエラをどうするかについては、政権内で合意があるようにはとても思えない。
  • 長年トランプ氏を批判してきたジョン・ボルトン氏が言っていたように、やはり「トランプ外交には、戦略も、哲学も、政策もない」のである。
  • 今回のインタビューでは、司会者がベネズエラを今後どうするかにつき執拗に質問していたが、次席補佐官の答えは実質「ゼロ」だった。
  • あの程度の考えでベネズエラに対し行動を起こしたのかと思うと、末恐ろしいものを感じる。ボルトンが言っていた政権内の状況は今も変わっていないのだろう。
  • 確証がある訳ではないが、今ワシントンで噂されている「大統領の肉体的・認知的能力の衰え」は全く根も葉もない話ではないのかもしれない。
  • この状態が続けば、2026年を通じ、恐らく同じような判断ないし行動が繰り返される可能性が高まるだろう。
  • そうなれば、もうアメリカの内政上の自浄作用に頼るしか、他に解決策はなくなるのだろうか。それには、まだ少なくとも3年はかかるのだが・・・。


恐ろしいことを年の初めから言ってしまったが、以上が現時点での筆者の率直な感想である。

さて続いては、いつもの通り、欧米から見た今週の世界の動きを見ていこう。ここでは海外の各種ニュースレターが取り上げる外交内政イベントの中から興味深いものを筆者が勝手に選んでご紹介している。欧米の外交専門家たちの今週の関心イベントは次の通りだ。

1月6日 火曜日  米州機構常設委員会がベネズエラ情勢を審議
1月7日 水曜日  ローマ教皇、臨時枢機卿会議を開催(2日間)
1月8日 木曜日  ヨルダン、EU・ヨルダン首脳会議を主宰
1月11日 日曜日  ベニンで議会選挙 
ミャンマーで総選挙(第二段階)
1月12日 月曜日  香港の裁判所がジミー・ライ氏に対する判決前審議を開催
国際司法裁判所がミャンマーのジェノサイドに関する審議を開催
ポーランド大統領訪英(2日間)


最後はガザ・中東情勢だが、前回は、昨年末にフロリダでトランプがネタニヤフと会った結果が出るまではガザ問題は動かないと書いた。件の首脳会議の結果を試しに某AIに尋ねたら、瞬く間に次のようなことを書いてきた。それによれば、主たる議題は: イランに対する強力な牽制、ガザ和平案の「第2段階」への移行、及び ヨルダン川西岸地区の入植地問題だったそうだ。でも、本当かねえ?別途、検証が必要だ。

確かに、トランプはイランが核施設などの修復や開発を継続する場合、イスラエルによるイランへの再攻撃を支持した模様である。また、ガザについては停戦後の統治計画が協議され、多国籍部隊の展開とハマスの武装解除で一致したという。だが、この程度の内容では第2段階は始まらない。いずれ戦闘は再開されるだろう。

興味深いのは、西岸地区の新入植地についてトランプ政権がイスラエルの裁量を尊重する姿勢を示したことだ。何のことはない、トランプとネタニヤフの愛憎関係は続いているということなのか。

今週はこのくらいにしておこう。皆さまにとって2026年が良い年となりますように。


2026年重要日程レポート1【1月5日版】

<今週以前から続く会議>

2026年1月

<1月5日‐1月11日>

5日 東証大発会
5日 米国のベネズエラ攻撃を巡り国連安全保障理事会が緊急会合(日本時間6日午前0時)
6日 経済3団体新年祝賀会
6日 世界最大級のテクノロジー見本市「CES」(ラスベガス)
6日 2025年第4四半期及び通年のベトナム社会・経済統計発表(GDP、CPI)
7日 ドイツ11月労働市場統計発表
7日 台湾2025年12月消費者物価指数(CPI)発表
8日 日銀支店長会議、地域経済報告
8日 30年国債入札
8日 国連(経済社会局)世界経済状況・予測発表
8日 米国11月貿易統計発表
8日 メキシコ2025年12月CPI発表
8日 ブラジル2025年11月鉱工業生産指数発表
9日 メキシコ2025年11月鉱工業生産指数、12月自動車生産・販売・輸出統計発表
9日 ブラジル2025年12月IPCA発表
9日 米国12月雇用統計
9日 25年12月の米雇用統計(労働省)
9日‐1月12日 プラスチック素材・加工関連展示会「PLASTEX」(カイロ)
11日 ミャンマー総選挙第2回投票(月内に第3回投票)

<1月12日‐1月18日>

12日 UNDP/UNFPA/UNOPS執行委員会事務局選挙(ニューヨーク)
12日 国連女性機関、執行委員会、事務局長選挙(ニューヨーク)
12日 ユニセフ、執行委員会、事務局長選挙(ニューヨーク)
12日 インド12月CPI発表
12日 米国10年国債入札
12日 国連女性執行委員会、2026年事務局選、挙日(対面式)
12日‐1月15日 英国文化外交フォーラム2026年(ロンドン)
12日‐1月16日 UNCITRAL、第3作業部会(投資家対国家紛争解決制度改革)、第53回会合(ニューヨーク)
12日‐1月30日 児童の権利委員会第100回会議(ジュネーブ)
13日 米国30年国債入札
13日 米国12月CPI発表
13日 アルゼンチン2025年12月CPI発表
15日 ブラジル2025年11月月間小売り調査発表
15日 フランス12月CPI発表
15日 イスラエル12月CPI発表
16日 ドイツ12月CPI発表
18日 ポルトガル大統領選挙

<1月19日‐1月25日>

19日‐1月22日 欧州議会本会議
19日‐1月22日 DIMDEX、2026年 (カタール、ドーハ)
19日‐1月23日 世界経済フォーラム(ダボス会議)(スイス・ダボス)
19日‐1月23日 アフリカ深海外交アカデミー(カメルーン、ヤウンデ)
19日‐1月23日 人権理事会、女性と女児に対する差別に関する作業部会、第43会期(ジュネーブ)
19日‐1月30日 人権理事会(ジュネーブ)
20日 アルゼンチン2025年12月貿易統計発表
20日‐1月22日 国際先進製造業および未来のモビリィティ展示会「World Advanced Manufacturing & Future Mobility(WAM)」(カサブランカ)
21日 英国2025年12月CPI発表
21日 アルゼンチン2025年11月経済活動月間指数発表
21日 メキシコ2025年11月小売・卸売販売指数発表
21日 南ア12月CPI発表
22日 アルゼンチン2025年11月百貨店およびスーパーマーケット消費指数発表
22日‐1月23日 「帰還移民への対応:次に何が起こるのか?外交、インフラ、そしてその先の道筋」会議(アンタルヤ、トルコ)

<1月26日‐2月1日>

26日 メキシコ2025年12月雇用統計発表
26日‐1月27日 アジア金融フォーラム(香港)
26日‐1月28日 サイバーテック・グローバル・テルアビブ2026(テルアビブ)
26日‐1月30日 Gulfood2026(UAE・ドバイ)
27日 欧州議会本会議
27日 メキシコ2025年12月貿易統計発表
27日‐1月28日 ブラジル中央銀行、Copom
27日‐1月28日 米国FOMC
28日 インド12月IIP発表
29日 米国第4四半期(速報値)および2025年通年GDP発表
29日 メリディアンスポーツ外交フォーラム(ワシントンD.C.)
29日‐1月30日 2026年ジミー・カーター米中関係フォーラム(アトランタ、ジョージア州)
30日 ブラジル2025年12月全国家計サンプル調査発表
30日 フランス第4四半期GDP成長率(速報値)発表
31日 ケニア1月CPI発表
1月上旬 中国2026年の主要統計の発表日程公表
1月上旬 中国2025年通年貿易統計発表
1月中旬 中国2025年通年経済指標(GDP、CPI、固定資産投資、社会消費品小売総額等)発表
1月下旬 韓国2025年第4四半期および通年GDP(速報値)発表
1月下旬 イラン暦10月CPI発表
1月中 韓国2025年12月および通年貿易統計発表
1月中 韓国2025年12月および通年雇用統計発表
1月中 国連(経済社会局)世界経済状況・予測発表
1月中 WTO2025年第3四半期サービス貿易統計発表
1月中 OECD2025年第3四半期海外直接投資(FDI)統計発表

2月

2月‐3月 ミャンマー国会
3日 ブラジル2025年12月鉱工業生産指数発表
3日 香港2025年12月小売統計発表
3日‐2月4日 IMTM-地中海観光国際展示会(テルアビブ)
4日 タイ2026年1月CPI発表
4日‐2月5日 欧州中央銀行(ECB)政策理事会(金融政策)
4日‐2月6日 インド準備銀行金融政策決定会合
5日 台湾2026年1月CPI発表
5日‐2月7日 イタリア博覧会カンボジア2026年(カンボジア)
6日 米国1月雇用統計
6日 2026年1月のベトナム社会・経済統計発表(CPI)
6日‐2月8日 「MyKarachi - Oasis Of Harmony」カラチ国際展(パキスタン)
9日 メキシコ1月CPI発表
9日‐2月12日 欧州議会本会議
9日‐2月12日 WHX Dubai(旧アラブヘルス)(ドバイ)
10日 メキシコ1月自動車生産・販売・輸出統計発表
11日 メキシコ2025年12月鉱工業生産指数発表
11日 米国1月CPI発表
12日 イスラエル1月財貿易統計発表
12日 インド2026年1月消費者物価指数発表
13日 ロシア中央銀行理事会
13日 ブラジル2025年12月月間小売り指数発表
14日‐2月17日 リードギフトショー(オーストラリア)
15日 イスラエル1月CPI発表
15日‐2月16日 アフリカ連合(AU)サミット(エチオピア・アディスアベバ)
16日 フィリピン2025年12月OFW送金額発表
17日‐2月18日 エヴォーク・アグ「Evoke Ag」(オーストラリア)
18日 フランス1月CPI発表
18日 南ア1月CPI発表
19日 イスラエル1月財貿易統計発表
20日 メキシコ2025年12月小売・卸売販売指数発表
22日 香港2025年12月CPI発表
23日 メキシコ2025年第4四半期GDP発表
23日 OECD2025年第4四半期G20貿易統計発表
25日 欧州中央銀行(ECB)政策理事会(非金融政策)
25日 タイ金融政策委員会1回目
25日 オーストラリア2026年1月CPI発表
25日 ユーロスタット、1月CPI(HICP)発表
25日 香港2026年1月CPI発表
26日 メキシコ1月雇用統計発表
26日 米国2025年第4四半期(改定値)および2025年通年GDP発表
27日 メキシコ1月貿易統計発表
27日 インドGDP2025年度第3四半期統計発表
28日 インド2026年1月消費者物価指数発表
2月上旬 ブラジル1月IPCA発表
2月中 IMFチームの予算措置に関する訪問(パキスタン)
2026年前半 ロシア・アラブ首脳会議(場所未定)
2026年内 ロシア大統領がカザフスタン訪問を予定


宮家 邦彦  キヤノングローバル戦略研究所理事・特別顧問