外交・安全保障グループ 公式ブログ

キヤノングローバル戦略研究所外交・安全保障グループの研究員が、リレー形式で世界の動きを紹介します。

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2024年3月19日(火)

デュポン・サークル便り(3月19日)

[ デュポン・サークル便り ]


ワシントンの桜は、今日、ついに満開宣言。この20年で最も速いペースで満開になりました。ですが、春分の日を迎えようというのに、今週はお天気が冬に一瞬、逆戻りする予想。しかも、今日、明日は春一番というより、むしろ木枯らしに近い、冷たい風が強くなる予想です。この突風で、せっかく開いた花が散ってしまわないと良いのですが・・・日本の皆様、いかがお過ごしでしょうか。

いよいよ、バイデン対トランプという「後期高齢者リベンジマッチ」が確定、大統領選挙も本格的になってきました。トランプ前大統領は相変わらず、お騒がせ。3月16日(土)にオハイオ州の選挙集会で、2021年1月6日連邦議事堂襲撃事件で訴追された人々に最敬礼、「自分が大統領に選ばれなかったら『血の海』になる」と、金正恩顔負けの発言をして大顰蹙を買いましたが、本人はどこ吹く風。またこれを書いている18日(月)は、数ある係争中の案件の1つ、ニューヨーク州で進行中の、自分が所有する不動産価格を実際よりも高く見せる、いわゆる粉飾をしていた疑惑をめぐる民事裁判について、月末までに裁判所に支払わなければいけない公債証書の保障を行う保険会社が見つからない、というニュースが話題を集めていました。

さらに3月16日(金)には、マイク・ペンス前副大統領がトランプ前大統領を支持しない旨を宣言。昨年予備選に立候補した時には、「トランプ前大統領が最終的に共和党大統領候補になったら彼を支持する」と言っていたペンス氏ですが、その後、トランプ前大統領の言動を見て心変わりした模様。

ペンス前副大統領だけではありません。共和党議員が大挙して、トランプ支持に回る中、トランプ前政権の中で、トランプ前大統領の閣僚として政権入りし、トランプ前大統領が直属の上司だった人たちの中で、トランプ前大統領を今年の大統領選挙で支持すると公言している人は3分の1もいない、という記事が、18日付ワシントン・ポスト紙電子版に掲載されていました。

ただ、バイデン大統領が、このようなトランプ前大統領の状態を逆手にとって、一気に反転攻勢をしかけているかというと、そうでもありません。というのも、現在、アメリカは、外交政策では、中東問題でネタニヤフ首相と電話会談、ハイチからの在留アメリカ人や大使館員の国外退避問題など待ったなしの状態が続いています。また、内政でも連邦政府予算をめぐり3月22日の連邦政府一部閉鎖の交渉期限が迫っています。特に、予算については、懸念されていたとおり、メキシコとの国境対策予算が引き続きネックとなっており、先行きは不透明です。

こんな状態ではありますが、アメリカ政府の私の友人たちは、早くも来月に予定されている岸田総理の公式訪米に向けて大忙し。こちらも、どのような成果が発表されるのか、注視していきたいと思います。


辰巳 由紀  キヤノングローバル戦略研究所主任研究員