外交・安全保障グループ 公式ブログ

キヤノングローバル戦略研究所外交・安全保障グループの研究員が、リレー形式で世界の動きを紹介します。

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2023年2月21日(火)

外交・安保カレンダー (2月20-26日)

[ 2023年外交・安保カレンダー ]


よせば良いのに、先週末も海外出張を入れてしまった。帰国前にバイデン大統領がポーランドで重要演説を行うと報じられていた。これはウクライナ「電撃」訪問があるだろう、と誰もが思っただろう。帰国後、案の定、大統領はウクライナを訪問したため、早速ある人からこう聞かれた。「岸田総理はウクライナに行かないのか」と・・・。

筆者は、「総理の日々の日程を承知する立場にはないが、そんな日程、知っていれば絶対に言わないし、知らなければ対外的に言いようがない。いずれにせよ、日本のメディアが日程の秘密を守ればウクライナには行けるし、守れないなら行けないだろう」「そもそも日本の総理がどうしても行く必要があるとは思えない」と答えた。

先週は「オフレコ破り」の話をしたが、これも基本的には同じ話である。日本の政治家には秘密を守る権利がないと言ったのはキッシンジャーだが、あれから半世紀経っても、日本の為政者には秘密を守る権利がないようだ。ホワイトハウス界隈には、その種のオフレコ情報を「内容が重大」だといって報じるジャーナリストなどいない。

この関連でもう一つ気になったのが王毅・中国共産党中央外事工作委員会弁公室主任(長い肩書なので、どのマスコミも「政治局員」としている)の訪欧である。この点は今週の産経新聞のコラムで取り上げたので、そちらをご一読願いたいが、簡単に言えば今の中国はトリレンマ(三つの矛盾)に直面している、ということだ。

三つのジレンマというか、三つの目的は①対米関係の改善、②対ロシア支援の継続、③欧米NATOの分断であるが、①はスパイ気球撃墜事件で、②は米国からの「対露殺傷兵器供与」に関する圧力で、③はNATOの結束が予想以上に強固で、それぞれ目的達成は難しいようだ。この難局を中国はどう乗り切るのだろうか。

〇アジア
北朝鮮の金与正党副部長が「太平洋を射撃場として活用する頻度は米軍の行動にかかっている」と表明したそうだが、メディアはこの種の発言を大きく取り上げ過ぎではないか。日本列島上空を越える形の弾道ミサイル発射を警告したというが、本当にそうか。深読みし過ぎではないか?

〇欧州・ロシア
ウクライナ問題とスパイ気球などをめぐり米中の外交当局の鍔迫り合いがヒートアップしている。ブリンケンが「(スパイ気球の飛来は)二度と起きてはならない無責任な行為だ」と言えば、王毅は「(米国が)武力の乱用で中米関係を損なったことを直視し解決するべきだ」と反論。これでは米中関係改善の兆しは見えてこないだろう。

〇中東
国連安保理がヨルダン川西岸でのユダヤ人入植地の拡大に「深い懸念と失望」を表明する議長声明を全会一致で採択したそうだ。民主党といえば一昔前はイスラエル一辺倒だった記憶があるが、時代は変わるものだ。尤もネタニヤフは昔極右だと思ったが、今や中道に近付いている。イスラエルはちょっとやり過ぎではないか。

〇南北アメリカ
カーター元大統領(98)が自宅でホスピスケア(終末治療)に移行することになったという。カーター大統領といえば、筆者が留学時代に米大統領選挙を勉強した際の大統領候補だったので、特別の思い入れがある。当然ながら大統領は一期で終わったが、米大統領としては最も正直で善人だったと思う。いつまでもお元気で!!

〇インド亜大陸
特記事項なし。今週はこのくらいにしておこう。

<今週以前から続く会議>

116日‐317日 ICAO、航空航法委員会、第222回会議(モントリオール)

123日‐310日 大陸棚の限界に関する委員会、第57回会議(ニューヨーク)

123日‐331日 軍縮会議 前半(ジュネーブ)

123日‐55日 行政・予算問題諮問委員会冬季セッション(ニューヨーク)

219日‐220日 リオのカーニバル(リオデジャネイロ、ブラジル)

2

220日‐226日>

20日 参院 行政監視委

20日 大統領の日(米市場休場)

20日 EU外相理事会(ブリュッセル)

20日 ロシア中央銀行金融政策レポート発表

20日 ユーラシア経済委員会評議会(ロシア・モスクワ)

20日 大統領の日(米市場休場)

20日 軍縮委員会、組織委員会(ニューヨーク)

20日‐221日 衆院予算委員会で2023年度予算案に関する分科会

20日‐222日 米大統領がポーランド訪問

20日‐224日 第25回開発政策委員会(ニューヨーク)

20日‐224日 人権理事会諮問委員会 第29回会議(ジュネーブ)

20日‐317日 平和維持活動特別委員会及び同作業部会 実質的な会合(ニューヨーク)

21日 EU一般問題理事会(ブリュッセル)

21日 メキシコ202212月小売・卸売販売指数発表

21日 ロシア大統領が年次教書演説

21日‐310日 フランス東部ブザンソンの黒崎愛海さん不明事件でセペダ被告の控訴審

21日 参院懲罰委員会がNHK党ガーシー議員に対する懲罰案審議

22日 米FOMC議事要旨(131日、21日開催分)(FRB

22日 衆院予算委で集中審議、岸田首相と関係閣僚が出席

23日 ユーロスタット、1CPI発表

23日 米国2022年第4四半期および2022年年間GDP発表(改定値)

23日 OECD2022年第4四半期G20貿易統計発表

23日‐225日 20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議(インド・ベンガルール)

24日 メキシコ2022年第4四半期GDP発表

24日 ロシアのウクライナ侵攻から1

24日 1月の米個人消費支出(PCE)物価指数(商務省)

24日 Starlink Group 6-1、ファルコン9ブロック5号、SpaceX (フロリダ州、ケープカナベラル宇宙軍基地)

24日 衆院議院運営委員会が日銀正副総裁候補から所信聴取、質疑

25日 ナイジェリア大統領・議会選

26日 Crew-6Falcon9Block5号・SpaceX(ケネディー宇宙センター)

26日 自民党大会

227日‐2月末>

27日 WTO紛争解決機関会合

27日 メキシコ1月貿易統計発表

27日‐228日 EU農水相理事会(ブリュッセル)

27日‐32日 国連WFP、理事会、第1回定例会(ローマ)

27日‐317日 ICAO、理事会フェーズ、第228回会議(モントリオール)

27日‐324日 第137回人権委員会(ジュネーブ)

27日‐44日 人権理事会、第52回会議(ジュネーブ)

28日 インド2022年度第3四半期GDP発表

2月中 ロシア投資フォーラム(ロシア・ソチ)

3

1日 EU理事会、政治会議コレパーI

1日 EU理事会、政治会議コレパーII

1日 ドイツ1月労働市場統計発表

1日 国連人口基金賞委員会 第1回定例会(ニューヨーク)

2日 ブラジル2022年第4四半期GDP発表

2日 メキシコ1月雇用統計発表

2日 ユーロスタット、1月失業率発表

5日‐39日 国連後発開発途上国会議 第5回会合(ドーハ)

6日 メキシコ2月自動車生産・販売・輸出統計発表

6日‐310日 経済的・社会的及び文化的権利に関する委員会、予備段階作業部会、第72回会議(ジュネーブ)

6日‐310日 情報通信技術の安全保障と利用に関するオープンエンド・作業部会 2021-2025 4回会合(ニューヨーク)

6日‐324日 障害者の権利委員会、第28回会合(ジュネーブ)

7日‐38日 EU非公式国防相会合

7日‐310日 IAEA、総務委員会(ウイーン)

7日‐315日 国際海底機構 法務・技術委員会(キングストーン)

8日 ユーロスタット、2022年第4四半期実質GDP成長率発表

8日 EU理事会、政治会議コレパーI

8日 EU理事会、政治会議コレパーII

9日 メキシコ2CPI発表

9日 UNEP、第161回常設代表委員会(ナイロビ)

10日 インド1月鉱工業生産指数発表

10日 米国2月雇用統計発表

10日 ドイツ2CPI発表


宮家 邦彦  キヤノングローバル戦略研究所理事・特別顧問