外交・安全保障グループ 公式ブログ

キヤノングローバル戦略研究所外交・安全保障グループの研究員が、リレー形式で世界の動きを紹介します。

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2022年6月21日(火)

外交・安保カレンダー (6月20-26日)

[ 2022年外交・安保カレンダー ]


先週から今週にかけて、あまり目立たないが、かなり重要な動きが世界各地で散見された。中でも筆者が最も気になったのがイスラエル政局だ。多くの読者にとって関心は低いだろうが、次回総選挙でネタニヤフ前首相が復活すればどうなるのか、元々中東屋だった筆者は、大いに気になるのである。

関連する各種報道を取り纏めれば次の通りだ。

  • 620日、ベネット現首相は連立を組むラピド外相と、来週クネセット(イスラエルの国会、定数120)を解散することで合意。過去3年強で5回目の総選挙となる。

  • 今後はベネット氏に代わりラピド氏が選挙管理内閣を率い、総選挙は10月となる見込み。最大野党の右派リクード党首ネタニヤフ前首相復帰の可能性もある。

  • ベネット政権は216月、左右両派にアラブ系まで加えた8党の連立で発足したが、特にパレスチナ問題を巡る不一致が大きく、当初から寄り合い所帯だった。

直接のきっかけは66日、ヨルダン川西岸のユダヤ人入植者へのイスラエル法適用を延長する法案が与党議員の造反で否決されたことだそうだが、こうした事態は政権発足当時から十分予想されていたこと。現連立政権はネタニヤフを首相の座から引きずり下ろすためだけの「野合」だったから、総選挙自体は驚かない。

筆者の現時点での見立ては次の通りだ。

  • やはり、ネタニヤフは強い、イスラエル政治の権化なのかね。彼の「切り崩し工作」はかなり効果的だったのだろう。現政権はもう少し続くのかな、とも思ったが、意外に脆かった。関係者には申し訳ないが、筆者は199389日から1994428日まで続いた細川内閣を思い出している。

  • 3年半で5回目の総選挙とは、最悪期の日本政治でもなかった頻度で、それ自体もの凄い話なのだが、それでも、イスラエルは国家として存続し、外交政策に大きな変化はないのだろう。7月にはバイデン大統領がイスラエルやサウジアラビアを訪れるらしいが、計画が変更されるという話は聞かない。

  • そうは言っても、このような首相交代劇を永久に繰り返せるのか、と問われれば答えは否だろう。こんな事態を繰り返していたら、いつかはボディブローのように効いて来る可能性が高い。それでも、「2人いたら、3つの意見が出て、4つの政党ができる」という昔聞いたジョークを思い出した。こんなこと今は誰も言えないだろうが・・・。

〇アジア
ロイターによれば、中国の避暑地・北戴河で7月1日からテスラ車両の進入が禁止されるという。この「北戴河」、党幹部や長老らが人事や政策につき意見交換・調整を行う舞台だが、日本でいえば一昔前の「軽井沢」だろう。テスラ車両搭載カメラの安全性を懸念したためらしいが、それでは「中国のEV化」って一体何なのだろうね。

〇欧州・ロシア
来週スペインでNATO首脳会議が開かれ、日韓豪NZ4か国首脳会合があるそうだが、どうやら日韓二国間会議はないらしい。4か国会合は「日本側からの提案」だというが、日韓はマルチでは対面するが、バイでは時期尚早ということか。当然だろう。日韓首脳会談を安売りする必要はない。時間をかける方が近道だと思うが・・・。

〇中東
サウジアラビアが「虹色」のおもちゃや子ども服は「同性愛を促進する」としてリヤド市内の店舗から商品を押収したそうだ。同性愛を禁止するイスラム法解釈により、「ルールと風紀に反するスローガン」を取り締まるのだという。だが、実態を知る者にとっては、こんなことで同性愛がなくなるとは到底思えないのだが・・・。

〇南北アメリカ
コロンビアの大統領選決選投票で、左翼ゲリラ出身で元ボゴタ市長だった上院議員が当選したそうだ。コロンビアで左派政権誕生は初めてだが、米国はどう対応するだろうか。日本には直接関係がない、などと言わず、米国の外交を鳥瞰的に見るためにも、南米の情勢をしっかりフォローしておく必要がある。

〇インド亜大陸
特記事項なし。今週はこのくらいにしておこう。

5月24日-6月25日 ICAO、理事会相、第226回会議(モントリオール)

5月下旬-6月中旬 第15期第3回ベトナム国会

14-25日 植民地諸国及び人民への独立の付与に関する宣言の実施に関する特別委員会、会議再開(ニューヨーク)

14-7月2日 女性差別撤廃委員会 第82回(ジュネーブ)

14-7月9日 人権理事会、第50回会議(ジュネーブ)

<6月20‐6月26日>

21日 米国「ウイグル強制労働防止法」執行のための戦略の議会提出期限

21日 米国予備選挙決選投票(アラバマ州、アーカンソー州、ジョージア州)

21日 米国予備選挙(バージニア州)

21-22日 第16回ASEAN国防高官会議

21-22日 UNRWA、諮問委員会(アンマン・ヨルダン)

21-23日核兵器禁止条約第1回締約国会議(ウィーン)

21-25日 国連WFP、理事会、年次総会(ローマ)

21-25日 WMO、執行評議会、第75回会議(ジュネーブ)

22日 滋賀県知事選告示(7月10日投開票)

22日 英国5月CPI発表

22日 ロシア1~4月貿易統計発表

22-23日 UNIDO、プログラム・予算委員会、第38回セッション(ウィーン)

22-23 国連女子理事会、年次総会(ニューヨーク)

22-24日 経済社会理事会、人道事務部門(ニューヨーク)

23日 アリアン5、マレーシア静止通信衛星MEASAT-3d、インド静止通信衛星GSAT-24(仏領ギアナ基地)

23日 メキシコ4月小売・卸売販売指数発表

23-24日 EU首脳会議(ブリュッセル) 

24日 女性に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約の締約国、第22回会合(ニューヨーク)

24日 ウクライナ2021年貿易統計発表

25日 米国2022年会計年度国防授権法(NDAA)に基づく東南アジアおよびASEANへの関与に関する国務省の包括戦略の議会提出期限

<6月27‐6月30日>

26-28日 G7首脳会議(ドイツ・エルマウ)

26-29日 米国商務省によるセレクトUSA投資サミット開催

27日 WTO紛争解決機関会合

27日 メキシコ5月貿易統計発表

27-7月1日 国連海洋会議(リスボン)

28日 米国予備選挙決選投票(ミシシッピ州、サウスカロライナ州)

28日 米国予備選挙(コロラド州、イリノイ州、ニューヨーク州、オクラホマ州、ユタ州)

28日 メキシコ5月雇用統計発表

28日 ファルコン9、静止通信衛星SES-22(ケープカナベラル空軍基地)

28-7月2日 持続可能な開発目標の実施を支援する国連会議、第14会議 (リスボン) 

28日-7月7日 第60回危険物輸送専門家分科会(ジュネーブ)

28日-7月16日 UNCITRAL、第55回会議 (ニューヨーク)

28日-7月30日 人権委員会、第135回会議(ジュネーブ)

29日 ロシア1~5月鉱工業生産指数発表

29日 米国第1四半期GDP発表(確定値)

29日 LauncherOne, QUEYSSAT、CTM-FD、GPX-2(カリフォルニア州モハベ)

29-30日 NATO首脳会議(マドリード)

29日₋7月1日 軍縮問題に関する諮問委員会、第78回会期(ニューヨーク)

30日 FAO、理事会、第167回セッション(ローマ)

30日 フィリピン新大統領就任

30日 ブラジル5月全国家計サンプル調査発表

30日 ドイツ5月労働市場統計発表

30日 米国2022年会計年度NDAAに基づくラテンアメリカおよびカリブ海地域における中国の影響力拡大に関する国務省報告書の議会提出期限

6月中 IEA世界エネルギー市場報告

6月中 IEA世界エネルギー投資報告

6月中 WTO2022年第1四半期財貿易統計

<7月1‐7月5日>

1日 香港返還から25年

4-6日 日ASEAN交通次官級会合

5日 ブラジル5月鉱工業生産指数発表

5-7日持続可能な開発に関するハイレベル政治フォーラム(ニューヨーク)

5-9日 人権理事会、先住民族の権利に関する専門家機構、第15回会議(ジュネーブ)

5-23日 国際法学セミナー 第56回 (ジュネーブ)

5日- 8月6日 国際法委員会、第73回会議、第2部(ジュネーブ)


宮家 邦彦  キヤノングローバル戦略研究所研究主幹