外交・安全保障グループ 公式ブログ

キヤノングローバル戦略研究所外交・安全保障グループの研究員が、リレー形式で世界の動きを紹介します。

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2022年5月24日(火)

外交・安保カレンダー (5月23-29日)

[ 2022年外交・安保カレンダー ]


今週は久し振りで東京が主要国外交の舞台となった。バイデン大統領が就任後初めてアジアを訪問、23日に日米首脳会談、24日には三回目となるクアッド(日米豪印)首脳会議がそれぞれ東京で開催された。日本で外交イベントがこれほど目白押しになるのも最近では珍しい。コロナ禍が如何に外交のやり方を変えたか、である。

バイデン訪日は、ウクライナ危機にも拘らず米国の戦略的優先順位が変わらないこと、地域の政治指導者の交代にもかかわらず、「自由で開かれたインド太平洋」重視の流れが変わらないことを示した。大変結構なことだと思うのだが、そこはバイデン大統領だ。勿論、波乱が全くなかった訳ではない。

日米共同声明を読めば、ウクライナ問題で日米同盟の結束を示し、北朝鮮をめぐっては日米、日米韓で一層緊密に連携することが確認され、中国の力を背景とした現状変更の試みにも強く反対し、米国の「拡大抑止」を再確認している。経済版2プラス27月開催が決まり、米国は日本の常任理事国入りや来年のG7サミット広島開催を支持した。日本はIPEFへの参加を表明、今後の防衛費増額の決意を述べた。日本としてはかなり頑張った結果だ。関係者の努力は正当に評価されるべきだろう。

ところが、こうした成果も、バイデン大統領の一言で吹っ飛んでしまった。共同記者会見で「台湾防衛に軍事的関与する用意はあるか」と問われ、大統領は「(その用意は)ある。それが我々のコミットメントだ」と答えてしまったからだ。早速朝日新聞は「バイデン氏『あいまい戦略」転換か 台湾防衛で関与明言 中国は反発』などと報じた。

恐らくバイデン大統領は確信犯だったと思う。この種の発言は既に3回目であり、単なる「失言」とは到底思えない。これまで米の台湾政策は、中国が台湾を軍事侵攻した際の米国の対応を明らかにしないという「曖昧戦略」だった。バイデン氏は最低限の「曖昧さ」を維持しつつも、より明確な「曖昧戦略」に移行しつつあるかようだ。

もう一つの焦点である日韓関係について米国がその改善に期待を持つのは当然だ。しかし、共同声明では、日米韓3国の協力に触れたものの、日韓関係について特段の言及はなかった。バイデン大統領も米国の限界は理解しているのだろう。2015年のいわゆる「慰安婦合意」実現に尽力したのは当時のバイデン副大統領だった。

クアッド首脳会合の成果については来週コメントするが、豪州の新首相について一言だけ。労働党の新首相は保守系の前首相と違い「親中」ではないかと見る向きも一部にあったが、それは杞憂のようだ。そもそも、今回の豪州総選挙において「中国」は争点ではなかった。クアッドの枠組みは今後も維持されるだろう。

〇アジア
北朝鮮でコロナ感染が止まらない。4月末から新型コロナウイルスの感染が疑われる発熱患者が増え続けており、22日夕までの1日で新たに167千人超の発熱患者が確認され、1人が死亡したという。このままでは世界で初めての「集団免疫」を目指す国になるのだろうか。

〇欧州・ロシア
ジュネーブ駐在のベテランの露外交官、軍縮会議ロシア代表部の参事官らしい、が自国によるウクライナ侵攻に抗議し辞任したそうだ。「プーチンが引き起こした侵略戦争は犯罪」などと痛烈に批判。ロシアの軍事オタクの間でもプーチン批判が渦巻いており、プーチンはこれを止められないようだ。

〇中東
トルコ大統領が南部の国境沿いで近く軍事作戦を行う計画があると述べたそうだ。シリアのクルド人武装勢力を標的にするそうだが、さすがエルドアンさん、ちゃんと計算しているようだ。こういう外交も効果的だが、そう何度も使える手ではない。それを多用するのがいかにもエルドアンらしい。

〇南北アメリカ

バイデン大統領の支持率が低迷している。追い打ちをかけるように、いま米国では乳幼児がいる家庭の多くが粉ミルクの供給不足で苦しんでいるという。粉ミルクメーカー大手が自社製品をリコールし、粉ミルク製造工場を閉鎖したからだそうだが、たかがミルク、されどミルクだ。欧州から米軍機が粉ミルクを輸送するそうだが、それはもう喜劇に近い。

〇インド亜大陸

モディ首相の訪日以外に特記事項なし。今週はこのくらいにしておこう。

523日‐531日>

3-28日 総会、第5委員会、再開会議第2 (未定) (ニューヨーク)

4-28 OHCHR、第90回会議 (ジュネーブ)

4-64日 子どもの権利委員会、第90回会議

22-26日 世界経済フォーラム年次総会 (スイス・ダボス)

23-29 WHO総会 (スイス・ジュネーブ)

24-64日 国際麻薬取締委員会、第134回会議 (ウイーン)

24日 米国予備選挙決選投票 (テキサス州)

24日 米国予備選挙 (アラバマ州、アーカンソー州、ジョージア州)

24-26日 国際組織犯罪防止条約締約国会議、国際協力作業部会、第13回会議 (ウイーン)

24-28 ESCAP、第78セッション (バンコク)

24-28日 人権理事会、アフリカ系専門家作業部会、第30回会議 (ニューヨーク)

24-625 ICAO、理事会相、第226回会議 (モントリオール)

25日 ロシア13月貿易統計発表

25日メキシコ4月貿易統計・第1四半期GDP発表

25-27 G7環境担当大臣会合〔ドイツ・ベルリン (予定)

26日 メキシコ3月小売・卸売販売指数発表

26日 米国第1四半期GDP発表 (改定値)

26 13月期の米GDP改定値 (商務省)

27日 国連環境計画 (UNEP)、第158回常任代表委員会 (ナイロビ)

27日 エレクトロン、 CAPSTONE (NASA) (ニュージーランド マヒア半島)

28-612 ILO、国際労働会議、第110 (ジュネーブ)

29日 コロンビア大統領選挙

29日 新潟県知事選投開票

31 WHO、理事会、第151回会議 (ジュネーブ)

31 WTO紛争解決機関会合

31EEU (ユーラシア経済連合) が域外への窒素肥料の輸出制限措置撤廃

31日 メキシコ4月雇用統計発表

31日 ブラジル4月全国家計サンプル調査発表

31日 インド2021年度第4四半期GDP発表

31日 インド2021年度GDP暫定推計値発表

31日 米国1974年通商法301条に基づく対中追加関税の特定医療製品に対する適用除外期限

5月中 CIS首相会議 (カザフスタン・ヌルスルタン)

5月中 第9期第3回ラオス国民議会

下旬-6月中旬 第15期第3回ベトナム国会

61日‐67日>

1日 ユーロスタット、4月失業率発表

1日 ロシア14月鉱工業生産指数発表

1日 ファルコン9Sherpa-AC1Sherpa-FX3Alba Cluster 6BlueWalker 32機のGHOStÑuSat (ケープカナベラル空軍基地)

1日 韓国統一地方選

1日 米地区連銀景況報告 (ベージュブック) (FRB)

1-4日 人権条約機関議長会議 第34回会議 (ニューヨーク)

2日 ブラジル第1四半期GDP発表

2-11日 宇宙空間の平和利用に関する委員会、第65回会議 (ウイーン)

3日 ブラジル4月鉱工業生産指数発表

3日 米国5月雇用統計発表

3日 ソユーズ2.1a (Soyuz-2.1a) ISS無人補給機プログレスMS-20 (81P) (バイコヌール宇宙基地)

3-4日 包括的核実験禁止条約機構準備委員会、作業部会A及び非公式・専門家会合、第61回会合 (ウイーン)

4日 国連開発計画 (UNFPA)/UNOPS、ユニセフ、国連WFP、国連ウーマン理事会の合同会議 (ニューヨーク)

5日 メキシコ 州知事選挙 (アグアスカリエンテス州、ドゥランゴ州、イダルゴ州、オアハカ州、キンタナロー州、タマウリパス州)

5日 長征2F、神舟14 (Shenzhou-14) (甘粛省 酒泉衛星発射センター)

7日 米国4月貿易統計発表

7日 米国予備選挙 (カリフォルニア州、アイオワ州、ミシシッピ州、モンタナ州、ニュージャージー州、ニューメキシコ州、サウスダコタ州)

7日 子どもの権利条約第19回締約国会議 (ニューヨーク)

7-11日 国連開発計画 (UNFPA)/UNOPS理事会、年次総会 (ニューヨーク)

7-11 IAEA、理事会 (ウイーン)

7-11日 海洋と海洋法に関する国連オープンエンド非公式諮問プロセス、第22回会合 (ニューヨーク)


宮家 邦彦  キヤノングローバル戦略研究所研究主幹