外交・安全保障グループ 公式ブログ

キヤノングローバル戦略研究所外交・安全保障グループの研究員が、リレー形式で世界の動きを紹介します。

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2022年2月24日(木)

外交・安保カレンダー (2月21-27日)

[ 2022年外交・安保カレンダー ]


「8年越し」のロシアによる対ウクライナ「軍事侵攻」が22日に「再開」され、今回ロシアは事実上占領してきた2地域に傀儡政権を樹立しただけでなく、ウクライナ国内の他の領域をも狙う軍事的動きを見せている。こうした状況もあり、今週の外交安保カレンダーは掲載を遅らせざるを得なかった。その点どうかご理解願いたい。

さて、今週はプーチン大統領の判断を分析したい。筆者は、彼が対外的に述べたロジックを前提に彼の意図を議論するだけでは現状は説明できないと思っている。筆者が懸念するのは、今回プーチン氏がその冷徹な情勢分析に基づく周到な作戦を実行に移したのではなく、単に「戦略的判断を誤った」可能性はないかということだ。

二週間前筆者はこう書いた。「最近米情報機関や政府高官はしきりに『早期のロシア軍侵攻とキエフ陥落』の可能性を喧伝している。これはバイデン政権一流の『宣伝戦』か、それとも『正確な情報』なのか」と・・・。どうやら、情報は正確だったが、つい最近まで日本国内には、ロシアの「侵攻はない」「陽動作戦だ」と一蹴する向きもあった。

そうした経緯もあり、同じく二週間前、筆者は「これら様々な情報は、『侵攻などあり得ない』と言い切った専門家たちの見解も含め、数週間後には、きっちりと、検証させてもらおうか」 とも書いた。決して喧嘩を売るつもりはないのだが、どうやら今、その種の検証を始める時期が到来したように思う。

それでは、これら「侵攻なし」論者の判断は間違っていたのか。そうとも思わない。彼らのロジックは極めて論理的、合理的だ。いくら米中覇権争いの中で「絶好のチャンス」が到来したとしても、現時点でロシアの軍事侵攻は「得るもの」よりも「失うもの」の方がはるかに多い。されば、「軍事侵攻」の可能性は限りなく低いはずだ、と・・・。

筆者も当初はそう考えていた。しかし、途中からロシアの限定的な「軍事侵攻」はあり得ると思うようになった。その最大の理由は、プーチン氏が「誤算する」可能性を感じ始めたからだ。いくら頭脳明晰のプーチン氏でも「老い」と「感情」には勝てない。今回の決定が彼の「英断」か、「戦略的判断ミス」かは来週以降明らかになるはずだ。

〇アジア
欧州がウクライナで大騒ぎする中、21日に在中国日本大使館職員が中国当局により一時的に拘束され、日本の外務次官は在京中国臨時代理大使に「厳重な抗議をするとともに謝罪を要求。再発防止策も強く求めた」そうだ。ロシアもロシアなら、中国も中国、どうやら強権専制国家の手法は古今東西変わらないようである。

〇欧州・ロシア
22日、独首相がロシアとの新ガスパイプライン「ノルドストリーム2」の「認可手続きを停止する」と発表したそうだ。対露制裁の一環だが、それまで同パイプラインを止める制裁の可能性に一切言及して来なかっただけに、実に興味深い。独首相がどこまで本気かは別として、これもプーチン氏の「判断ミス」の一つになるかもしれない。

〇中東
原油価格が高騰、昨日はバーレル当たり96ドルを付けた。市場関係者はその先行きを巡り、「対イラン制裁が解除され同国からの輸出が増加しなければ、各国政府による景気回復に向けた取り組みで供給が一段と逼迫し、最高値を試す可能性がある」と予想しているそうだ。それで対イラン制裁が解除されるとは到底思えないが・・・。

〇南北アメリカ
ウクライナ対応がバイデン支持率に与える影響が気になるが、今週はトランプ前大統領が創設したソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」(Truth Social)を取り上げる。トランプ氏はツイッター、フェイスブック、ユーチューブから排除されているので、起死回生となるのか。登録が難しいなどトラブルもあるようだが、気になるところだ。

〇インド亜大陸
特記事項なし。今週はこのくらいにしておこう。

101-2022331日 ドバイ国際万博開幕

125-415日 ジュネーブ軍縮会議 First part(ジュネーブ)

21EU外相理事会(ブリュッセル)

21EU農水相理事会(ブリュッセル)

21日 ニクソン米大統領訪中から50

21日 大統領の日(ワシントン生誕日)で米市場休場

21-22EU運輸・通信・エネルギー担当相理事会 非公式会合(運輸)(ル・ブルジェ)

22EU一般問題理事会(ブリュッセル)

22日 国連軍縮委員会 organizational session(ニューヨーク)

22日 竹島の日

22-319ICAO(国際民間航空機関) council phase 225回会合(モントリオール)

23EU1CPI発表

23日 天皇誕生日(62歳)

24日 米国2021年第4四半期および2021年年間GDP発表(改定値)

24日 メキシコ202112月小売・卸売販売指数発表

24日 ブラジル202112月全国家計サンプル調査発表

24EU競争力担当相理事会(ブリュッセル)

24日 米国連邦政府による防衛、公衆衛生、情報通信技術、エネルギー、輸送、農産物・食品生産の各産業基盤に関する1年間のサプライチェーン評価報告書の提出期限

251月米・PCE物価指数(商務省)

25日 メキシコ2021年第4四半期GDP発表

25日 ロシア1月鉱工業生産指数発表

25日 ロシア2021年貿易統計発表

25-26EU経済・財務相理事会 非公式会合(パリ)

27日 石垣市長選

27日 ベラルーシ改憲国民投票選

27日 「核のごみ」最終処分地の文献調査が進む北海道神恵内村で村長選

28-36日>

28日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)

28日 メキシコ1月貿易統計・雇用統計発表

28日 インド2021年度第3四半期GDP発表

28 WTO紛争解決機関会合

28- エレクトロン'THE OWL'S NIGHT CONTINUES′(StriX-β)打ち上げ(ニュージーランド・マヒア半島)

28-31EU一般問題理事会 非公式会合(結束)(ルーアン)

31日 米国大統領一般教書演説

1日 米国テキサス州予備選

1日 三・一独立運動から103

1-5WFP執行理事会 First regular session(ローマ)

31-42日 国連人権理事会

2日 カナダ中央銀行政策金利発表

2日 ベージュブック(FRB

2日 アトラスV(静止気象衛星GOES-T)打ち上げ(ケネディ宇宙センター)

3EU1月失業率発表

3日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)

4日 メキシコ2月自動車生産・販売・輸出統計発表

4日 ブラジル2021年第4四半期GDP発表

4日 米国2月雇用統計発表

4日 第13期全国人民政治協商会議第5回全体会議(北京)

4-13日 北京2022冬季パラリンピック(中国・北京)

5日 第13期全国人民代表大会第5回全体会議(北京)

5日 ソユーズ2.1a(国際宇宙ステーション第67次および第68次長期滞在ミッション用ソユーズMS-21)打ち上げ(バイコヌール宇宙基地)


宮家 邦彦  キヤノングローバル戦略研究所研究主幹