外交・安全保障グループ 公式ブログ

キヤノングローバル戦略研究所外交・安全保障グループの研究員が、リレー形式で世界の動きを紹介します。

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2022年2月1日(火)

外交・安保カレンダー (1月31日-2月6日)

[ 2022年外交・安保カレンダー ]


早いもので、2022年も既に2月に入った。今週最大の関心事は、日本の国会が初めて採択するいわゆる「人権決議」である。報道では、「中国を念頭」に人権問題に「懸念」を示す国会決議が、北京冬季五輪開幕を前にも採択される見通しだとされている。具体的には21日の採択を目指しているというが、どうなるのだろう。

報道によれば、同決議案は、新疆ウイグル自治区や香港で「信教の自由への侵害や強制収監をはじめとする深刻な人権状況への懸念が示されている」と明記したという。他方、「中国」なる国名は記載せず、「人権侵害」や「非難」の文言も使用しないらしい。それって、一体どのような内容の決議なのか、全文を読まないと分からない。

ちなみに、昨年4月に「日本ウイグル国会議員連盟」など関係4議連が初めてまとめた決議案では、「深刻な人権侵害に象徴される力による現状の変更を、『強く非難』するとともに、人権侵害行為を国際社会が納得する形で『直ちに中止』する」ことを求めている、と報じられていた。

更に、この決議当初案では、「ウイグル、チベット、内モンゴル各自治区、香港に加え、ミャンマーで発生している信教の自由の侵害、強制収監などの問題について『国際社会の正当な関心事項であり、一国の内政問題にとどまるものではない』と指摘し、国会として『必要な法整備の検討』に速やかに取り掛かる、とまで述べている。

この当初案に比べれば、現在の決議案の表現が相当程度柔らかくなっていることだけは間違いない。一方、欧米諸国では、既にウイグルでの弾圧を「ジェノサイド(民族大虐殺)」と認定する動きが広がっている。決議を出さないと米国との信頼関係が損なわれてしまう、という見方もあるが、果たしてそうだろうか。それはともかく・・・。

この時点で日本の国会決議が採択される場合でも、「とにかく北京五輪の前に人権決議を出すことが重要」と見るか、「このような内容であれば出す意味はない」と見るか、議論は分かれるだろうが、中国にとっては決議が出ること自体、不愉快だろう。いずれにせよ、決議採択の可否およびその最終的内容は21日にも判明する。

〇アジア
31日に中国で春節の大型連休が始まった。例年旅客数は延べ30億人ともいわれるが、今年の移動者数は118000万人程度で、2019年比で6割の大幅減だという。その中で今週末、北京五輪が始まるのだが、果たして大丈夫だろうか。コロナ感染拡大から一部選手による不規則言動の可能性まで、北京の懸念は尽きない。

〇欧州・ロシア
ウクライナ情勢緊迫化でNATO諸国間の温度差の拡大が気になる。ここでも注目されるのは、米英など海洋国家、仏独など大陸西欧国家、ポーランドやバルト海諸国など旧ソ連の一部か隣国だった東欧諸国の思惑の違いだ。いずれにせよ、プーチンが武力行使に踏み切れば、筆者の言う「勢いと偶然と判断ミス」の時代が再び始まる。

〇中東
いわゆる「アブラハム合意」後、イスラエルと湾岸アラブ諸国との正常化が進んでいる。当初はイスラエルとの改善を「経済的理由」と見る向きもあったが、今や紅海でイスラエル、UAE、バハレーン、米国の海軍合同演習が行われるようになった。やはり、イスラエルとの関係改善は主として安全保障上の理由と見るのが正しいだろう。

そのUAEで、イスラエル大統領が公式訪問中に、再び弾道ミサイルが撃ち込まれ、UAE軍は米軍の支援でそれを迎撃したという。発射したのは恐らくイエメンの親イラン勢力・ホーシー派だろうが、イランの嫌がらせである可能性は高い。中東の戦略的環境は急激に変わりつつある。

〇南北アメリカ
トランプ前大統領は、2024年大統領選で勝利すれば、202116日の連邦議会襲撃事件で訴追された支持者らを恩赦するという。でも、これでトランプの勢いが復活するということではない。最大の悲劇はトランプのカムバックの成否がバイデン大統領の人気次第だという、恐ろしい現実である。

〇インド亜大陸
特記事項なし。今週はこのくらいにしておこう。

101-2022331日 ドバイ国際万博開幕

18-25日 国連ICAO committee phase 225回会合(モントリオール)

18-212日 国連子どもの権利委員会 第89回会合(ジュネーブ)

25-415日 ジュネーブ軍縮会議 First part(ジュネーブ)

31日 インド2020年度GDP修正値発表

31EU2110-12月期GDP速報値(EU統計局)

31日 米カタール首脳会談(ワシントン)

31日 在日米軍施設・区域における外出制限措置の終了

31-21EU競争力担当相理事会(産業・域内市場)

31-23日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)

21EU202112月失業率発表

1日 ミャンマークーデターから1

1日 世界文化遺産登録のUNESCOへの推薦期限

1日 旧正月・春節(中国)

1-2日 ブラジル中央銀行、Copom

1-5UNDP/UNFPA/UNOPS執行理事会 First regular session(ニューヨーク)

1-5UN麻薬統制委員会 133回会合(ウィーン)

1-12日 国連子ども権利委員会 第89回会合(ジュネーブ)

2UN環境計画 常駐代表委員会(CPR157回会合(ナイロビ)

2日 ブラジル202112月鉱工業生産指数発表

3日 欧州中央銀行(ECB)定例理事会(独フランクフルト)

3日 中国・王外相とロシア・ラヴロフ外相が会談(北京)

4日 メキシコ1月自動車生産・販売・輸出統計発表

4日 米国1月雇用統計発表

4-20日 北京2022冬季オリンピック(中国・北京)

4-6日 アルゼンチン・フェルナンデス大統領が中国を訪問

6日 エリザベス英女王即位70

6日 コスタリカ大統領選および議員選

6日 北朝鮮最高人民会議召集(平壌)

6日 岐阜市長選

7-13日>

7日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)

7-8日 フランス・ル・ドリアン外相およびドイツ・ベアボック外相がウクライナを訪問

8日 米国202112月貿易統計発表(商務省)

9日 メキシコ1CPI発表

9日 ブラジル202112月月間小売り調査発表

9-12UNICEF執行理事会 First regular session(ニューヨーク)

10日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)

10日 米国1CPI発表(労働省)

10-20日 ベルリン国際映画祭

11日 インド202110月鉱工業生産指数発表

11日 メキシコ202112月鉱工業生産指数発表

11日 ロシア中央銀行理事会

11日 ソユーズST-B(ワンウェブ衛星#13 34機)打ち上げ(仏領ギアナ基地)


宮家 邦彦  キヤノングローバル戦略研究所研究主幹