外交・安全保障グループ 公式ブログ

キヤノングローバル戦略研究所外交・安全保障グループの研究員が、リレー形式で世界の動きを紹介します。

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2021年11月24日(水)

外交・安保カレンダー (11月22-28日)

[ 2021年外交・安保カレンダー ]


今年も残り僅か5週間となった。毎年今頃になると、欧米の得体の知れない組織が翌年の「十大リスク」など様々な報告書を発表し、善良な読者を煙に巻く季節がやって来る。この種の未来予測の多くは「大外れ」か「誰でも予測可能」なものだが、大半の読者は昨年の予測内容など覚えていないので、商売としては十分成り立つのだろう。

例えば、某有力集団が昨年末に予測した2021年の「十大リスク」は、①第46代米大統領、②コロナ後遺症、③気候問題、④米中の緊張拡大、⑤グローバルデータ、⑥サイバースペース、⑦孤立無援のトルコ、⑧中東:原油価格低迷、⑨メルケル後の欧州、➉中南米だったが、その多くは誰でも思い付くことばかり。困ったことである。

さはさりながら、本稿でも、いずれ「2021年の回顧と2022年の展望」を書かざるを得ないことは理解している。いい加減なことは書けないが、筆者はプロの占い師ではないので、予測が当たる自信など全くない。という訳で、過去一年の回顧と来年の展望については、何とかクリスマスまでに「頭の整理」をしておくことにしよう。

今週筆者が最も関心を持ったのは中国女子プロテニスの彭帥選手が投稿した「不倫告白」騒ぎの顛末だ。中国では政府関連情報が厳重に管理されており、この種のスキャンダルが明るみに出ることは稀だが、北京冬季オリンピック開催直前でもあり、タイミングは最悪。中国側の懸念は冬季五輪への悪影響であるに違いない。

ちなみに、彭帥選手は今年35歳になるが、元共産党政治局常務委員の一人との関係を告白したのは112日、二人の関係は十数年前に遡るという。彼女の告白を全文精読したが、一部内容に混乱はあるものの、基本的に真実である可能性が高いと感じた。案の定、現在中国は早期の「火消しと幕引き」に躍起となっている。

昨日はIOC会長が彭帥選手とテレビ電話する映像は流れたが、結局、彼女の肉声は聞けなかった。彼女が公の場で自由に話せる機会は当面もしくは永久にないかもしれないが、それで世界はこの問題を忘れるだろうか。大いに疑問ではある。詳しくは毎日新聞の政治プレミアに書いたので、ご一読願いたい。


〇アジア
昨年、中国の出生率が建国以来最低水準となり、出生数が死亡数を上回る「自然増」も数十年で最も低い水準となったそうだ。近く人口減少に転じるとの見方もあるが、仮にそうであれば、中国の経済成長が頭打ちになるのは時間の問題だろう。しかし、真の問題はそれまで日本経済が持つかどうか、ではなかろうか。

CNNはキッシンジャー元国務長官が、1972年に毛沢東がニクソンに台湾問題解決につき「我々は100年間待てる。この時点で議論する必要はない」と語ったことを明らかにしたと報じた。キッシンジャー氏は98歳で元気そうだったが、当時の毛沢東の言葉を今引用して何になる。奇妙なことに、そのキッシンジャーを中国は今も頼っている。

〇欧州・ロシア
ウクライナ情勢が緊迫している。ロシア軍が複数箇所からウクライナに急速に大規模侵攻を行うため兵員と砲兵隊を増強しているとの情報を米国が欧州の同盟国と共有したそうだ。武力を行使することに何の躊躇いもないプーチンは再びバイデンを試そうとしている。米側の反応が心配だ。

〇中東
スーダン軍が、10月のクーデターで解任され自宅軟禁下にあった文民出身首相の復職に同意したという。同首相は今後、実務家で構成する文民内閣を発足させ、再び軍民共同で2023年の民政移管を目指すというが、本当に大丈夫か。誰が仲介したかは知らないが、スーダンでは、一時的に和解しても、恒常的な妥協は難しいだろう。

〇南北アメリカ
米国でインフレが進み、過去一年で物価は6.2%上昇したという。当然、バイデン政権の支持率は低下気味。昨日同大統領はインフレ対策につき演説を行い、5000万バーレルの原油備蓄を放出するというが、恐らくは焼け石に水だろう。来年の中間選挙はもう中盤戦に差し掛かっているが、このままでは民主党は危ない。

〇インド亜大陸
特記事項なし。今週はこのくらいにしておこう。


10月1-2022331日 ドバイ国際万博開幕

17-28日 米・ロサンゼルス自動車ショー(一般公開は19日から)

20-22日 パラグアイ・アセベド外務大臣が訪日

22日 リビア大統領選の立候補受け付け期限

22日 国際原子力機関(IAEA)・グロッシ事務局長がイラン外相と会談(テヘラン)

22-25日 欧州議会本会議(ストラスブール)

22-26日 人権に関するASEAN各国政府間委員会

23日 EU一般問題理事会(ブリュッセル)

23日 メキシコ9月小売・卸売販売指数発表

23日 パレスチナ・アッバス大統領が訪露し、プーチン大統領と会談

23-25日 第56ASEAN規格および品質諮問委員会

23-27日 IAEA 理事会(ウィーン)

24日 米国第3四半期GDP発表(改定値)

24日 ロシア1-9月貿易統計発表

24日 ロシア1-10月鉱工業生産指数発表

24日 ファルコン9(ダート)打ち上げ(ヴァンデンバーグ空軍基地)

24日 ソユーズ-2.1bISSロシアモジュール Prichal)打ち上げ(バイコヌール宇宙基地)

24-26日 農業見本市(コロンビア・メデジン)

25日 EU競争力担当相理事会(域内市場・産業)(ブリュッセル)

25日 メキシコ第3四半期GDP発表

25日 米・10月個人消費支出(PCE

25日 米・FOMC議事録

25日 米感謝祭(ニューヨーク市場は全て休場)

25-26日 EU環境相理事会 非公式会合(都市問題)(クラーニ)

25-26日 カンボジアでアジア欧州会議(ASEM)首脳会議(オンライン)

25-26日 駐日外交団の地方視察ツアー(福島県こおりやま広域圏)の実施

26日 政府主催の全国都道府県知事会議(首相官邸)

26日 EU競争力担当相理事会(研究・宇宙)(ブリュッセル)

26日 メキシコ10月貿易統計発表

26-12月12 ILO総会 第109回会合を再開(ジュネーブ)

27日- エレクトロン ‘Love at First Insight’ BlackSky 12, 13)打ち上げ

(ニュージーランド・ マヒア半島)

28日 キルギス議会選挙

28日 ホンジュラス大統領選および議会選

29-125日>

29日 EU外相理事会(貿易)(ブリュッセル)

29日 教育・若者・文化・スポーツ担当相理事会(教育と若者)(ブリュッセル)

29日 メキシコ10月雇用統計発表

29日 WTO紛争解決機関会合

29日 スイス国民議会議長、全州議会議長選挙

29-11月2日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)

29-11月3日 国連工業開発(UNIDO)総会 第19回会合(ウィーン)

30日 若者・教育・文化・スポーツ担当相理事会(スポーツと文化)

30日 ブラジル9月全国家計サンプル調査発表

30日 インド2021年度第2四半期GDP発表

30日 バルバドス・サンドラ・メーソン総督が初代大統領に就任

30日-123日 第12WTO閣僚会議(スイス・ジュネーブ)

1日 ベージュブック(FRB

1日 ソユーズST-BGalileo FOC 23,24)打ち上げ(仏領ギアナ基地)

1日 ファルコン9(スペースX社スターリンク衛星 53機)打ち上げ(ケープカナベラル空軍基地)

1-3日 国際中小企業エキスポ(香港)

2日 EU10月失業率発表

2日 運輸・通信・エネルギー担当相理事会(エネルギー)(ブリュッセル)

2日 ブラジル第3四半期GDP発表

3日 運輸・通信・エネルギー担当相理事会(通信)(ブリュッセル)

3日 ブラジル10月鉱工業生産指数発表

2-3日 アジア知的財産ビジネスフォーラム(香港)

3日 米国11月雇用統計発表

4日 ガンビア大統領選挙


宮家 邦彦  キヤノングローバル戦略研究所研究主幹