キヤノングローバル戦略研究所外交・安全保障グループの研究員が、リレー形式で世界の動きを紹介します。
2021年10月5日(火)
[ 2021年外交・安保カレンダー ]
昨4日、岸田文雄内閣が発足した。驚いたことに内閣官房参与に再任され、先ほど辞令交付式があった。他の多くの参与も再任されていたので、何となく、ほっとした。この数年、東アジアの地政学的戦略環境は激変しており、日本外交は当面「海図のない航海」が続くように思える。これまで同様、できることをやっていこう、と思う。
今週のJapanTimesに岸田政権の中国政策について書いた。日本メディアでは相変わらず「政局」を中心とする的外れな内政・外交記事が散見されるが、そうした傾向は海外メディアも同様らしい。例えば、NYTやワシントンポストの日本内政記事は自民党のステレオタイプ分析ばかりで、同党内の真の変化が見えていないようだ。
という訳で、今週の外交安保TVは、米国某有力紙の在京特派員をゲストにお呼びし、アメリカ人から見た日本の内政を語ってもらう予定である。勿論日本語で・・・。これができる特派員は決して多くないので、筆者個人的にも非常に楽しみにしている。ご関心のある向きは、今週後半の掲載となるだろうが、ご一見願いたい。
今週もう一つ気になったのが日本のジャーナリズムのあり方だ。先週内閣記者会が新総理に、首相記者会見での一社一問一答などの制限を撤廃し、より多くの社を参加させ、会見の司会も内閣広報官ではなくメディア側にやらせろ、といった申し入れを行ったと聞いた。
詳細は今週の産経新聞のコラムに書いたのでここでは立ち入らないが、この要求には流石に驚いた。一部には総理会見を「質問が出尽くすまで、無制限に」続けるべしといった極論すらあったようだ。一体何を甘えたことを言っているのか。こんな要求を受ける政府など、少なくとも主要民主主義国家ではないだろう。
日本では選挙で選ばれた首脳級の政治指導者(官房長官)が一日に二回も記者会見をやっている。外国なら報道官がやる仕事だ。更に日本では、首相会見も一時間近くやり、その上、ぶら下がり取材にも応じている。それに対し、諸外国では首脳レベルの記者会見などせいぜい30分らしい。
それにしても、日本の民主主義とは一体何なのかを考えさせられる要求である。
〇アジア
北朝鮮が4日午前9時から南北間の全通信回線を再開したという。金正恩の先月末の最高人民会議施政演説を受けた措置らしい。韓国には「通信回線再稼働の意味を深く刻み、・・・先決すべき重大課題を解決するために積極的に努力しなければならない」と呼びかけた。遂に経済が立ちいかなくなったのだろう。安易な妥協は不可だ。
〇欧州・ロシア
国際調査報道ジャーナリスト連合が発表した「パンドラ文書」によれば、世界の現旧首脳35人が、巨額資産を隠すためタックスヘイブンを利用していたという。英国、チェコなど欧州諸国だけでなく、ヨルダン、アゼルバイジャン、ケニアなどの首脳・元首脳が名指しされているそうだが、幸い、日本の政治家に金持ちはいなかったようだ。
〇中東
先週、オマーン北部にサイクロンが上陸したという。場所は首都マスカットから100キロほど西に行った北部の地点。上陸時の最大風速は秒速33メートル以上、マスカットで189ミリの雨が記録されたが、それはオマーンの年間降水量2年分に当たるという。多くの人はこれを地球温暖化による異常気象と見るだろうが、果たしてそうか。
〇南北アメリカ
米国で新型コロナの感染による死者数が70万人を超えた。60万を超えたのが6月半ばだから、新たに10万人が死亡するのに3カ月半しかかからなかったということ。ワクチン接種率も後発の日本に追い抜かれている。一体何をやっているのだか。それでもワクチンを打たないアメリカ人がいるとは・・・、心配だ。
〇インド亜大陸
特記事項なし。今週はこのくらいにしておこう。
9月14-10月9日 国連人権理事会 第48回会合(ジュネーブ)
1-7日 国慶節休暇(中国)
1-20日 国連総会 第3委員会 第76回会合(ニューヨーク)
1-2022年3月31日 ドバイ国際万博開幕
3-6日 英国保守党大会 (マンチェスター)
4日 ユーログループ(ルクセンブルク)
4日 ASEAN合同協議会(JCM)、ASEAN高官準備会議
4日 OPECプラス閣僚級会合(テレビ会議)
4日 国民議会招集(エチオピア)
4日 日本新内閣の組閣
4-5日 トルクメニスタン・ベルディムハメドフ大統領がウズベキスタンを訪問
4-7日 欧州議会本会議(ストラスブール)
4-8日 UNHCR執行委員会 第72回会合(ジュネーブ)
4-8日 APEC中小企業相会合(バーチャル)
5日 欧州経済・財務相理事会(ルクセンブルク)
5日 米国8月貿易統計発表(商務省)
5日 ブラジル8月鉱工業生産指数発表
5日 ソユーズ2.1a(国際宇宙ステーション第65次および第66次長期滞在ミッション用ソユーズMS-19)打ち上げ(バイコヌール宇宙基地)
5-6日 国連総会 第1委員会 第76回会合(ニューヨーク)
5-6日 OECD閣僚理事会(バーチャル)
5-7日 イスラエル大統領がウクライナを訪問
5-13日 国連総会 第4委員会 第76回会合(ニューヨーク)
5-14日 国連総会 第5委員会 第76回会合(ニューヨーク)
6日 欧州環境相理事会(ルクセンブルク)
6日 欧州中央銀行(ECB)政策理事会(非金融政策)(フランクフルト)
6日 メキシコ9月自動車生産・販売輸出統計発表
6日 ブラジル8月月間小売り調査発表
6-19日 国連総会 第6委員会 第76回会合(ニューヨーク)
6-25日 国連総会 第2委員会 第76回会合(ニューヨーク)
7日 メキシコ9月CPI発表
7日 日英円滑化協定の締結に向けた交渉 第1回目
7-8日 WTO一般理事会
7-8日 欧州司法・内務相理事会(ルクセンブルク)
7-9日 アフリカ・フランス首脳会議(フランス・モンペリエ)
8日 米国9月雇用統計発表(労働省)
8日 ブラジル9月IPCA発表
8-9日 チェコ下院総選挙
10日 イラク議員選
10 日 台湾・双十節
10日 朝鮮労働党創建76年
10日 韓国大統領選に向けた与党「共に民主党」予備選
<11-17 日>
11日 ASEAN経済共同体(AEC)評議会
11日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
11日 CIS内相会議(アルメニア・エレバン)
11日 米・コロンブスデー(為替、債券市場が休場。株式、商品市場は通常取り引き)
11-12日 EU農水相理事会(ルクセンブルク
11-17日 IMF・世界銀行年次総会と関連会合(オンライン・対面、ワシントン)
11-11月5日 国連自由権規約人権委員会 第133回会合(ジュネーブ)
12日 G20貿易相会合(イタリア・ソレント)
12 日 EU雇用・社会政策・保健・消費者問題担当相理事会(保健)非公式会合(クラーニ)
12日 メキシコ8月鉱工業生産指数発表
12日 インド8月鉱工業生産指数発表
12-13日 G20財務相・中央銀行総裁会合(米国・ワシントン)
13日 米国9月CPI発表
13日 中国9月貿易統計発表
13日 ロシア9月CPI発表
13日 国連世界観光機関(UNWTO) 執行理事会 第114回会合(モロッコ・マラケシュ)
13-14日 WTO知的所有権の貿易関連の側面に関する(TRIPS)理事会
13-15日 ロシアエネルギーウィーク(モスクワ)
14日 CIS外相会議(ベラルーシ・ミンスク)
14日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
14日 FOMC議事録
14日 中国9月CPI発表
14日 ソユーズ-2.1b(ワンウェブ衛星#11 36機)打ち上げ(ボストチヌイ基地)
14-15日 欧州理事会(ブリュッセル)
14-16日 第27回税関能力開発ワーキンググループ会議
15日 EU雇用・社会政策・保健・消費者問題担当相理事会(雇用・社会政策)(ルクセンブルク)
15日 CIS首脳会議(ベラルーシ・ミンスク)
15日 米国9月小売売上高統計発表
15-16日 G20財務省・中央銀行総裁会合(米国、ワシントン)
16日 長征2F(神船13号 #2有人)打ち上げ(甘粛省・酒泉衛星発射センター)
16日 アトラスV(ルーシーLucy(ディスカバリー計画 #13))打ち上げ(ケープカナベラル空軍基地)
17日 カーボベルデ大統領選挙
宮家 邦彦 キヤノングローバル戦略研究所理事・特別顧問