外交・安全保障グループ 公式ブログ

キヤノングローバル戦略研究所外交・安全保障グループの研究員が、リレー形式で世界の動きを紹介します。

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2021年9月28日(火)

外交・安保カレンダー (9月27日-10月3日)

[ 2021年外交・安保カレンダー ]


早いもので今年の外交安保カレンダーも今回が39回目となる。「光陰矢の如し」とは良く言ったものだ。921日だったか、菅義偉前首相の最後の海外出張が発表された時、日本の一部メディアが「卒業旅行」「思い出作り」「何しに行くのか」などと散々揶揄していたことを思い出した。

ところが、924日にクワッド(日米豪印)首脳会議がホワイトハウスで開かれ、踏み込んだ内容の共同宣言が発表されてからは、さすがにそうした批判は聞かれなくなった。また、昨日の東京の新感染者数は150人台!5000人を超えてパニックになったのはつい最近だったような気がする。国民と関係者の努力の結果なのだろうが・・・。

そんなことは誰も言わない。内外情勢は何事もなかったかのように、勝手に進んでいくのだ。自民党の総裁選は今週結果が出て、来週には新総理が誕生する。国際情勢も、830日深夜の駐アフガニスタン米軍完全撤退からの一か月間で、インド太平洋地域の政治、経済、軍事情勢は再び大きく変わり始めている。

9月15日にはインド太平洋地域での豪英米の新たな安全保障パートナーシップであるAUKUSの設立が発表され、16日と22日には中国と台湾によるTPP加盟申請がそれぞれ行われた。そして、24日のクワッド首脳会合だ。政治、経済、軍事と内容は異なるが、これらは目に見えない糸で相互に結ばれている。

一連の動きは、米国の外交安保政策の優先順位が、中東における「テロとの戦い」から「自由で開かれたインド太平洋」に移りつつあること、中国がそれに対応していることを示している。第二次大戦以降、米国がアジアに回帰するのは、朝鮮戦争とベトナム戦争に続き今回が三度目、しかも今回の関心対象は「中国の台頭」だ。

先週は「恒大集団」の破綻の可能性について触れたが、この点は今週の外交安保TVCIGSの岡嵜研究主幹に詳しく解説してもらった。「恒大」という経済現象を金融のプロと政治アナリストが、それぞれの専門分野から真面目に分析しており、必見ではないかと勝手に思っている。お時間があれば是非ご視聴願いたい。

もう一つ今週書いたのが、米仏の軋轢である。915日のAUKUS創設発表で最も傷付いたのはフランス外交だからだ。豪州は一年近くも前からフランスとの潜水艦開発計画に満足していなかったらしく、超極秘裏に米国の原潜導入を考えていたようだ。しかも、この情報は全く外に出なかった。米英豪の保秘体制は完璧だったのだ。

考えてみれば、この三国は太平洋戦争でも同盟国だった。戦後、連合軍海軍が横須賀港に入港した際、艦隊を率いた一人が豪州海軍の司令官だったことはあまり知られていない。当時豪州海軍は英連邦海軍の一員として太平洋戦争に参戦しており、AUKUS共同声明にもあるとおり、豪英米は「海洋の民主主義国家」なのである。

この点については毎日新聞政治プレミアに詳しく書いた。仏との潜水艦共同開発計画が破棄されフランスは米国と豪州に駐在する仏大使を召還した。その後米仏大統領が電話会談し、共同声明が発表された。この共同声明がとてつもなく面白い、絶妙の「玉虫色」外交文書なのである。ご関心のある向きはこちらもご一読願いたい。


〇アジア

先週末、詐欺罪などで米司法省から起訴されていた華為技術副会長兼CFOの孟晩舟被告が司法取引で釈放され、同時に中国当局が拘束していたカナダ人2人も解放された。分かり易いと言えば分かり易いが、この司法取引で米国は一体何を得たのだろうか。カナダが米国に頼み込んだのか、気になるところだ。

〇欧州・ロシア

26日のドイツ総選挙で中道左派のドイツ社会民主党(SPD)が僅差で勝利、同党首相候補、ショルツ財務相が軸となるそうだ。やはりメルケルなきキリスト教民主同盟(CDU)ではだめなのか。そうは言っても、ショルツ氏だって現連立政権の一員、ドイツがどの程度変わるかで、今後の欧州の流れが変わるだけに要注意である。

〇中東

先週アフガニスタンでターリバーンが誘拐事件の容疑者4人を殺害し、遺体を公の場でつるし「晒し者」したことが問題視されている。うーん、問題であることはその通りだが、あの連中には何故問題なのか理解できないだろうな、と直感した。ターリバーンと言っても一枚岩ではないということだろう。アフガニスタンの混乱は続くだろう。

〇南北アメリカ

連邦議会の共和党はバイデン政権の支出法案に猛反発しており、債務の上限引き上げを含む、繋ぎの予算法案の交渉が進んでいない。このままいくと1015日ごろにアメリカ政府が財政破綻するそうだ。この危機的内政状況の中でクワッド首脳会議が開かれた。大統領自身が議会対策をやるバイデン政権は大丈夫なのか、心配だ。

〇インド亜大陸

特記事項なし。今週はこのくらいにしておこう。


13-10月1 ICAO(国際民間航空機関) Committee Phase 224回会合(モントリオール)

14-10月9日 国連人権理事会 第48回会合(ジュネーブ)

21-27日 第76回国連総会一般討論(ニューヨーク)

25-29日 英国労働党大会(ブライトン)

27日 IAEA理事会(ニューヨーク)

27日 メキシコ8月貿易統計発表

27日 ナゴルノ・カラバフをめぐる軍事衝突から1

27日 快船1号甲(吉林一号高分02D)打ち上げ(甘粛省酒泉衛星発射センター)

27-29日 第26ASEAN社会文化コミュニティ評議会(ASCC)会議

27-30日 国境を越えた犯罪に関する第15ASEAN閣僚会議(AMMTC)とその関連会議

28日 EU競争力担当相理事会(ブリュッセル)

28日 メキシコ8月雇用統計発表

28日 ロシア1-7月貿易統計発表

28日 北朝鮮の最高人民会議(平壌)

28日 アトラスVLandsat 9, CUTE, CuPID, 2機のCesium Mission1)打ち上げ(ヴァンデンバー

グ空軍基地)

28-10月1 WTOパブリックフォーラム

29日 EU競争力担当相理事会(ブリュッセル)

30日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)

30日 EU 8月失業率発表

30日 米国第2四半期GDP発表(確定値)

30日 中国9PMI発表(国家統計局)

30日 ブラジル7月全国家計サンプル調査発表

9月中 インド外国貿易政策2021-2026発表

10月1日 ロシア2021年第2四半期需要項目別GDP(速報値)発表

1日 米国8PCE発表(商務省)

1日 イプシロンロケット5号機(革新的衛星技術実証2号機)打ち上げ(内之浦宇宙空間観測所)

1-7日 国慶節休暇(中国)

1-2022年331日 ドバイ国際万博開幕

3日 岡山市長選

3-6日 英国保守党大会 (マンチェスター)

104-10日>

4日 ユーログループ(ルクセンブルク)

4日 OPECプラス閣僚級会合(テレビ会議)

4-7日 欧州議会本会議(ストラスブール)

4-8日 UNHCR執行委員会 第72回会合(ジュネーブ)

4-8日 APEC中小企業相会合(バーチャル)

5日 欧州経済・財務相理事会(ルクセンブルク)

5日 米国8月貿易統計発表(商務省)

5日 ブラジル8月鉱工業生産指数発表

5日 ソユーズ2.1a(国際宇宙ステーション第65次および第66次長期滞在ミッション用ソユーズMS-19)打ち上げ(バイコヌール宇宙基地)

5-6日 国連総会 第1委員会 第76回会合(ニューヨーク)

5-13日 国連総会 第4委員会 第76回会合(ニューヨーク)

5-14日 国連総会 第5委員会 第76回会合(ニューヨーク)

6日 欧州環境相理事会(ルクセンブルク)

6日 メキシコ9月自動車生産・販売輸出統計発表

6日 ブラジル8月月間小売り調査発表

6-19日 国連総会 第6委員会 第76回会合(ニューヨーク)

7日 欧州司法・内務相理事会(ルクセンブルク)

7日 メキシコ9CPI発表

8日 米国9月雇用統計発表

8日 ブラジル9IPCA発表

8-9日 チェコ下院総選挙

10日 イラク議員選


宮家 邦彦  キヤノングローバル戦略研究所研究主幹