外交・安全保障グループ 公式ブログ

キヤノングローバル戦略研究所外交・安全保障グループの研究員が、リレー形式で世界の動きを紹介します。

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2021年6月29日(火)

外交・安保カレンダー(6月28-7月5日)

[ 2021年外交・安保カレンダー ]


中国共産党が7月1日に創立100年を祝う。1921年7月の第1回党大会は確か23日だったが、まあ「1日」でキリが良いのだろう。北京では厳戒態勢の下で祝賀式典が盛大に挙行され、習近平党総書記が演説するそうだが、中身は今からでも簡単に予測できる。恐らく過去一世紀間に起きた事件の大半は言及されないからだ。
共産党発足当時、中国は中華民国の時代で、24年には孫文率いる国民党と第1次国共合作で協力したが、27年4月の上海クーデター以降、両党の関係は悪化した。37年の日中戦争勃発で第2次国共合作が成り、長い内戦を経て49年に中華人民共和国が建国された。そこまではまだ良いのだが、共産党の真の問題はそれからだ。
毛沢東による大躍進の失敗、文化大革命による社会的大混乱を経て、鄧小平が改革開放政策を開始、中国は経済的に発展したが、その後は天安門事件、法輪功事件からウイグル弾圧、香港「国安法」まで、共産党は一貫して一党独裁体制を維持してきた。この100年の歴史が事実に基づいて検証されるのはいつの日のことか。
中国といえば、先週米国で面白い事件があった。退役海兵隊少佐がバイデン大統領宛公開書簡をネット上に発表し、「米国は台湾をめぐる中国との戦争に勝てない」「勝ち目のない戦いのために米国民の血を流してはならない」などと痛烈にバイデン政権の台湾政策を批判したのだ。しかも、問題はそれだけではない。
本年4月と5月に元少佐は、共産党系環球時報に同趣旨の評論を二本も寄稿し、現在米海軍犯罪捜査局の調査を受けている。極秘情報を扱える「セキュリティ・クリアランス」も剥奪され、機密情報漏洩の容疑で捜査が始まったそうだ。こんな男がまだワシントンにいたとは思わなかった。詳細は産経新聞のコラムをご一読願いたい。
最後も、間接的ながら、中国関連である。先週米軍はアフガニスタン北部のバグラン、クンドゥズの2州で反政府武装勢力「ターリバーン」に対し空爆を行った。ターリバーン報道担当は報復を示唆したが、今も米国ではバイデン政権の「アフガニスタンからの米軍撤退」の是非について、連日侃侃諤諤の議論が続いている。
中でも、共和党系の若手論客2人が「中国との競争に注力したいなら、アフガニスタンから撤退すべきではない。アフガンから撤退してもテロとの戦いは続き、米国が負担するコストはむしろ増大する。されば、対中牽制は強化されるどころか、むしろ弱体化するだろう」と論じた評論には説得力がある。
あちらを立てれば、こちらが立たず。このままでは「モグラ叩き」が永遠に続き、結局は、ブッシュ(息子)、オバマ政権と同様、バイデン政権も中東に忙殺され、中国問題に適切に対処できなくなる可能性が高いということだ。これが正しければ、日本の対中政策も大きな影響を受ける。二度あることは三度ある、は間違いだと信じたい。



〇アジア

香港・蘋果日報(アップルデイリー)の休刊に懸念を表明した加藤官房長官と茂木外相の発言を在京中国大使館は「誤った発言」と批判したそうだ。相も変わらず、「中国の内政に著しく干渉」しており、「強烈な不満と断固たる反対を表明」した。うーん、この種の戦狼外交は全く効果がないのに、懲りずにまだやっているようだ。

〇欧州・ロシア
ハンガリーがEUの中で再び孤立している。今回は未成年向けの教材や宣伝などで同性愛や性転換の描写や助長を禁じる法律が成立からだそうだ。当然EU各国は強く反発、「言語道断の差別」とする共同声明に17カ国が署名したという。それでも、オルバーン首相は動じない。やはり、大ハンガリー主義は永遠なのか。

〇中東
 27日、米軍がシリア・イラク国境地帯の親イラン派民兵組織施設3カ所を精密爆撃した。これら施設はイラク駐留米軍に対する無人機攻撃の際使われたらしい。他方、同日イラン革命防衛隊の司令官は飛行距離7000キロの無人機を保有していると述べたそうだ。やはりイラク核合意の米イラン交渉がうまくいっていない証拠だろうか。

〇南北アメリカ
米フロリダ州で12階建てマンションが崩落したが、建築コンサル会社が2年前に「構造上の損傷」があると指摘していたらしい。酷い話である。一方、ニューヨーク州マンハッタン地区検察官は、トランプ一族の中核組織を脱税などの容疑で刑事訴追するらしい。もし訴追されれば、トランプは破産し一巻の終わりとなる。これも酷い話だ。

〇インド亜大陸
 インド西部ムンバイで約2000人、コルカタでも約500人が、コロナワクチンだと騙され、生理食塩水を注射されたそうだ。警察は医師2人を含む関係者10人を逮捕したというが、流石はインドである。実にスケールがでかい。今週はこのくらいにしておこう。いつものとおり、

22-7月16日 UN人権理事会 第47回会合
28日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
28日 メキシコ5月貿易統計発表
28日 ロシア5月雇用統計発表
28日 中露首脳オンライン会談
28日 イスラエル・リヴリン大統領が米・ホワイトハウスを訪問
28日 ファルコン9(Aurora, Capella5,6基のHawk, ICEYE等)打ち上げ(ケープカナベラル空軍基地)
28-29日 EU農水相理事会(ブリュッセル)
28-29日 G20外務相会合(イタリア・マテーラ)
28-7月2日 欧州復興開発銀行(EBRD)年次総会(英国・ロンドン)
28-7月16日 国連国際商取引法委員会 第54回会合(ウィーン)
28-7月23日 自由権規約人権委員会 第132回会合(ジュネーブ)
29日 拉致問題に関する国連シンポジウム(オンライン)
29日 韓国前検事総長が大統領選出馬表明へ
29-30日 イスラエル・ラピド外相がアラブ首長国連邦(UAE)訪問
29-7月4日 茂木外務大臣がG20外相会合、イタリア、エストニア、ラトニアおよびリトアニアを訪問
30日 G20人道支援に関する大臣級会合(イタリア・ブリンディジ)
30日 ブラジル4月全国家計サンプル調査発表
30日 ロシア大統領と国民とのテレビ対話
30日 香港国家安全維持法施行から1年
30日 米・トランプ前大統領がテキサス州メキシコ国境を訪問
30日 ソユーズ2.1a(ISS 無人補給機プログレスMS-17(78P))打ち上げ(バイコヌール宇宙基地)
30-7月2日 欧州地域委員会(CoR)145回本会議(オンライン)
30-7月2日 ドイツ・シュタインマイヤー大統領がイスラエル訪問へ
30-7月4日 セーシェル・ラムカラワン大統領がオーストリアを訪問
7月1日 スロベニアがEU議長国に就任
1日 WTOサービス貿易理事会
1日 EU欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
1日 OPEC総会(テレビ会議)
1日 第18回 OPEC・非OPEC産油国閣僚会合(ビデオ会議)
1日 中国共産党創立記念日(100周年)
1日 香港返還から24年
1日 ユーロスタット、5月失業率発表
1日 スロベニアがEU議長国に就任
1日 ソユーズ-2.1b (ワンウェブ衛星#8 36機) 打ち上げ(ボストチヌイ基地)
2日 第9回太平洋・島サミット(テレビ会議)
2日 国連経済社会理事会 integration segment(ニューヨーク)
2日 米国5月貿易統計発表、6月雇用統計発表
2日 ブラジル5月鉱工業生産指数発表
4日 東京都議選


<5-11日>
5日 米・独立記念日の振替休日(米市場休場)
5日 長征3B/E(Tianhui-3)打ち上げ(四川省西昌衛星発射センター)
5-8日 欧州議会本会議(ストラスブルグ)
5-8月13日 国連国際法委員会 第72回会合 second part (ジュネーブ)
6-17日 第74回カンヌ国際映画祭(フランス・カンヌ)
7日 メキシコ6月自動車生産・販売輸出統計発表
7日 ブラジル5月月間小売り調査発表
8日 メキシコ6月CPI発表
8日 ブラジル6月IPCA発表
8日 FOMC議事要旨
9-10日 G20財務省・中央銀行総裁会合(イタリア・ベネチア)
9日 欧州委員会夏季経済予測発表
9日 中国6月CPI発表
10日 長征2D(吉林一号寛幅01B、吉林一号高分03D 01,02,03)打ち上げ(山西省太原衛星発射センター)
11日 奈良市長選
11日 ブルガリア総選挙
11日 中朝友好協力相互援助条約締結から60年


宮家 邦彦  キヤノングローバル戦略研究所研究主幹